「農民」記事データベース20050905-698-01

怒りの声あげよう

大増税ストップ!! 推進派に総選挙で審判を

農家の肩に重くのしかかる負担増

 庶民大増税が、総選挙の大きな争点の一つになっています。庶民増税派にきびしい審判をくだし、これをストップさせましょう。


表1 増税メニューが満載−政府税調「論点整理」 政府税制調査会は、六月二十一日、「個人所得課税に関する論点整理」を公表。その中身は、定率減税の廃止、給与所得控除の半減、配偶者控除や扶養控除などの廃止(表1)。また同じ日に小泉内閣は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五」、いわゆる「骨太方針」を閣議決定。そのなかで、今後一年以内に消費税大増税の具体化に着手することを宣言し、二〇〇七年度から消費税率を一〇%以上に引き上げようとねらっています。マスコミは「サラリーマン大増税」といっせいに報道していますが、これはサラリーマンに限ったことではありません。農家にも自営業者にも高齢者世帯にも、総額で二十四兆円という大きな負担をもたらします。

〈農家はどうなる?〉

 農家ではどんな負担増が待ち構えているのか。宮崎県でハクサイ、キャベツなどを栽培する専業農家、Aさん(47)の場合―。(表2)

 Aさんは、母親と妻、子ども二人の五人家族。二〇〇四年一年間の総売り上げは千六百五十四万円になりました。しかし、そこから農業機械の減価償却や肥料代などの経費を差し引いた所得は二百八万円。夫婦で働いてやっとサラリーマン一人分の収入に手が届くかどうかです。

表2 専業農家Aさんの負担増はこうなる この所得金額から扶養控除(母・子ども二人、一人につき三十八万円、計百十四万円)や社会保険料控除などを差し引くとマイナスになるため、今年の申告では、所得税が非課税でした。ところがこのAさんを、来年の申告から新たな負担増が待ち構えています。

 一昨年、自民・公明などが強行した消費税法の改正によって、免税点が三千万円から一千万円に引き下げられたため、Aさんの今年の売り上げが昨年と同額だと仮定すると、Aさんは、来年四月に十八万円の消費税(簡易課税)を納めなければならなくなりました。

 さらに政府がねらう庶民大増税が実施されたら…。Aさんの長男は来年十六歳になるため、特定扶養控除の対象になり、控除額が六十三万円になるはずでした。

 ところが扶養控除と特定扶養控除が廃止されると、所得から差し引かれる控除額が減ります。そのため、所得が同額だと仮定しても、マイナスだった課税所得は六十五万円になり、新たに六・五万円の所得税がかかってきます。

 そのうえ消費税が一〇%になった場合、消費税額は十八万円から三十四万円に膨れ上がります。

〈これ以上の負担増は〉

 同じく宮崎県でタバコ、ダイコンなどを栽培する兼業農家、Bさん(35)も昨年の売り上げが千二百七十五万円になり、来年から消費税を納めなくてはなりません。〇六年の定率減税半減と消費税分を合わせて二十三万円、〇七年に定率減税が廃止され、消費税が一〇%になれば、四十五万円もの負担になります。

 Bさんは「原油の高騰による燃料費の上昇、機械類の購入にも金がかかります。農家は苦しいばかり。なんとか負担を軽減できないものか。これ以上の負担増では、農業を続けられません。もともと農業は天候に左右されやすく、収入も不安定。農産物の価格保障が絶対に必要です」と話しています。

 AさんもBさんも地域農業を支える大事な担い手。消費税増税と庶民大増税による負担増は、地域農業をもつぶしかねないほど、農家に重くのしかかってきます。

(新聞「農民」2005.9.5付)
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2005年9月

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