シリーズ直売所 北から南から
大阪・河南町「かなん」
農事組合法人を設立、みんなで経営
売り上げも会員もどんどん増える
大阪・南河内にある河南町。富田林市から奈良県御所市へぬける国道309号沿いに、道の駅「かなん」があります。
この道の駅は昨年四月、国の補助を受けてオープン。同時に府の補助も受けて物品販売ができる農村活性化センターを併設しました。そして地元の農産物を販売しようということになり、以前から近くで直売所を開設していた農家に声がかかりました。その中心になったのが、地元の農協で長く営農指導を担当し、最近退職した阪上勝彦さん(62)です。
町内農家の15%も
阪上さんには以前から、地元で採れる豊富な農産物を地元の消費者に届けたい、という願いがありました。そこでまず始めたことは、直売所の主体に農事組合法人を設立することでした。農産物の販売が個人にまかせられている直売所が多いなか、あえて農事組合法人にこだわったのは、法律にもとづいてみんなで経営にたずさわり、会計を明朗にすることが大事だと考えたから。阪上さんの呼びかけに、九十四人が会員になり、今では河南町の農家数の一五%にあたる百二十一人に増え、さらに「入りたい」という農家があとを絶ちません。
昨年の総売り上げは一億二千万円を超え、多い人で月七十万円以上にも。今年は半年ですでに去年の売り上げに達し、二億円以上を見込んでいます。レジ通過者は、昨年五月時点で一万七千人でしたが、今年は二万三千人に増加しました。
料理方法も聞ける
「今までは、ただで近所や親せきに分けていた野菜がこうして売れるんやから、そりゃ元気が出まっせ」―六十歳以上の農家が多い地域ですが、おじいさん、おばあさんが元気です。七月二十四日の日曜日には、開店を前に八十人余りが列を作りました。「ここは新鮮だし、農家の人が売り場にいて、『この野菜は、こう料理するとうまいよ』と声をかけてくれる」と、松原市からイチジクを目当てに来たというご夫婦。
阪上さんは、農家が自分で値段をつけるシステムについて、「品質のいいものを適正な価格で販売するために、もっと農家に判断材料となる市場価格の情報を知らせていきたい」と話します。阪上さんの地産地消への思いは、さらに大きくふくらんでいます。
(新聞「農民」2005.8.15付)
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