前進座・戦後60年特別企画今日われ生きてあり8月18日〜21日 東京・吉祥寺 前進座劇場
鹿児島・薩南の地、知覧。これは、知覧を飛び立ってもどることのなかった少年特攻兵と、「ときわ食堂」の女将・鳥花うめさんやその家族など、彼らの出撃を見送った人々との魂の交流の物語です。 申し込み・問い合わせは、電話0422(49)2811まで。観劇料金5500円(ただし農民連会員・新聞「農民」読者に特別割引あり)
幕開けから終演まで涙、涙前進座「佐倉義民伝」をみて幕が開くと、嵐圭史さん扮(ふん)する佐倉宗五郎を先頭に、十数人の百姓たちが地べたに座り、額を地面にこすり付けて「お頼み申す!」と、声をそろえる。佐倉藩主堀田家の江戸屋敷門前「門訴」の場面。まず、ここで涙。百姓たちのみすぼらしい身なりに対して、藩主の豪壮な門構え。結局、訴えは家老によってはねつけられてしまう。第二幕は、渡し守・甚兵衛の小屋の場面。ここでも泣かされる。死罪を覚悟で将軍への直訴を決意した宗五郎が、妻や子どもに最後の別れをしようと、雪の夜、印旛沼のほとりにある渡し場にたどりつく。ここでの、宗五郎に対する甚兵衛の応対は、百姓の総代として命がけでがんばっている人への親しみと尊敬の情がこもっている。そして鉈(なた)を振るってお上(かみ)の手先をたおし、舟をつないだ鎖をたたき切って宗五郎を乗せた船を出す。満場の拍手。 最後の場面は、子別れの場。追いすがって着物の裾(すそ)を握るわが子の手を、三度笠で何回も振り払う。泣けて泣けて困ってしまった。 結局、百姓たちの願いは実現するが、宗五郎ははりつけの刑に処せられてしまう。この場面は、芝居には出てこない。その後、佐倉宗五郎は百姓たちの間で崇拝と信仰の対象になり、お寺にまつられている。この事件は、江戸初期におきた百姓一揆であるが、歌舞伎として上演されたのは、江戸末期。江戸時代は、百姓一揆を題材とした歌舞伎は禁止されていたが、瀬川如皐(じょこう)の作で「東山桜荘子」の題で中村座が上演。大当たりしたという。 今回の国立劇場での前進座五月公演は、農民連・特別割引でみることができた。東京農民連からは、八人で観劇した。また仲間とみにいきたいものである。 (東京農民連事務局長 斉藤勇)
(新聞「農民」2005.8.8付)
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[2005年8月]
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