「農民」記事データベース20050808-695-07

アメリカに大きな波紋

中国のリンゴ輸出(中)

デビンダ・シャルマ(寄稿)


輸入価格の低下から米企業が暴利を獲得

 一九八〇年代の中国は、ワシントンリンゴの主要輸入国だった。中国政府が北西部諸県にリンゴ果樹園の植樹を決定したのは、そのころだ。実質ゼロから、十二〜十五年の間に世界最大リンゴ生産国になった中国の成長ぶりは、どんなものさしで計っても目覚ましい。中国のリンゴ生産は世界の頂上にとどまり、インドを含む世界トップテンの国々の合計生産量を超えている。

 リンゴの木を植え始めてからわずか十五年、アメリカ市場を支配し始めた中国産濃縮リンゴジュースは、しだいにその量を増やし、今日、十二倍にまで増加した。急激な輸出の増加とともに、中国産濃縮リンゴジュースの価格は下がり続け、一九九五年の一ガロン(約三・八リットル)当たり七・六五ドルから、一九九八年には三・五七ドルまで下がった。リンゴ農家が悲鳴をあげるかわりに、消費者は幸せになったのかというと、そうではない。ウォールマートなどのスーパーマーケット・チェーンは濃縮ジュースを底値で調達して、それを缶やボトルに詰める。こうした企業が輸入価格の低下から利益を得るようには、消費者は利益を得られなかった。中国のリンゴ濃縮ジュースが反ダンピング税を賦課された後でさえ安くなるということは、生産コストがいかに低いかをわれわれに教えている。

(インドのフリージャーナリスト)
(つづく)

(新聞「農民」2005.8.8付)
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2005年8月

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