演劇3劇団の共同企画「60年目の夏」長崎、知覧、神戸 舞台に戦争をテーマの3作品
劇団青年座、劇団東演、の共同企画「六十年目の夏」は、三つの劇団がそれぞれに「平和」へのアプローチとして上演してきた作品を一堂に集めたもの。青年座「明日―一九四五年八月八日・長崎」(井上光晴=原作、小松幹生=脚色)、東演「朗読劇・月光の夏」(原作・脚本=毛利恒之)、関西芸術座「少年H」(妹尾河童=原作、堀江安夫=脚色)、長崎、知覧、神戸を舞台に描かれた作品です。演出は三作品とも鈴木完一郎(青年座)。 鈴木さんは「三年前に『月光の夏』と『少年H』を同時に演出していたとき、新幹線のなかで思いついた企画」といいます。「『明日』も加えれば、原爆、特攻、空襲という三つのテーマになる。このテーマは市井(しせい)の人間が肌で感じた戦争であったと思う。戦争というとてつもないものの前で人間としての生きかたに焦点をあわせたとき、戦争とは生きることを問いかける哲学的なものがあると感じた。現代に生きる人間として、声をあげることが大事であって、声をあげるにあたっては哲学的に生きる根本のところから話をする必要がある。演劇的な切り口で人間が生活しているところから戦争を考えた」と、意欲的です。 「明日」は一九八九年の初演、九一年、九二年に再演。原爆が投下された町を取材した作家が、焼け跡に干されていた白いシャツをみて想を得て、原爆投下前日の出来事にしぼって書かれたもの。結婚式を迎える妹と初出産を迎える姉を中心にした人びとの一日が描かれています。出演は野々村のんほか。 「月光の夏」は三年前から上演を開始した朗読劇。ピアノ演奏では「月光」全曲を聴かせます。音楽学校出身の特攻隊員二人が鳥栖小学校のグランドピアノでベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」を弾き、沖縄の空に出撃していきました。出演は山田珠真子ほか。 「少年H」は神戸の町が舞台。三年前の初演、東京では初めて。妹尾肇こと少年Hは、洋服仕立て職人の父と熱心なキリスト教徒の母と妹の四人家族。戦争色が強くなり、やがて神戸も大空襲をうけ焼け野原となってしまいます。出演は梶山文哉ほか。 (鈴木太郎)
*明日=8月11日〜13日、月光の夏=14日〜15日、少年H=16日〜17日、東京・新宿・紀伊國屋ホール。一般3000円・三作品鑑賞券7500円。15日午後3時シンポジウムあり。連絡先=上演委員会(東演内)(電話)03(3419)2871 (新聞「農民」2005.8.1付)
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[2005年8月]
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