「農民」記事データベース20050801-694-09

アメリカに大きな波紋

中国のリンゴ輸出(上)

デビンダ・シャルマ(寄稿)


ジュース・シェア45%にも 悲鳴をあげる米国業界

 布地や衣類ばかりでなく、中国は、アメリカ市場を濃縮リンゴジュースであふれさせてきた。濃縮だけで満足しない中国は、いまやUSDA(アメリカ農務省)に生鮮リンゴの検疫証明を求めている。こうして赤いリンゴの潮流は、アメリカを洗い流そうとしている。

 アメリカのリンゴ農家は、この中国産リンゴの輸入を遮断(しゃだん)するよう要求し、国内のリンゴ生産を守るよう求めている。同時に、アメリカのリンゴ業界は、インドのような国々に新たな市場を見出そうとしている。マンゴーのアメリカ向け輸出を認める代わりに、インドにリンゴの市場開放を求めている。

 面白いことに、中国もインドに同じ提案をしている。日本はすでにアメリカの圧力に屈し、リンゴの市場を開放している。中国がアメリカのリンゴカートをひっくり返したことは明らかだ。

 国内のリンゴ生産が高い支配力をもっているにもかかわらず、インドでは、およそ五十万箱(約一万トン)のリンゴがこの二年間に輸入され、その三〇%がアメリカからであった。例えば、チェンナイでは、小売店で購入可能なリンゴの七〇%以上がアメリカ産である。

 アメリカのリンゴ農家は、二〇〇二年に輸入された中国産濃縮リンゴジュースによって、推定一億三千五百万ドルの所得を失ったと言っている。二〇〇〇年五月に始まった、中国産濃縮リンゴに対する五一・七四%におよぶ反ダンピング税の賦課にもかかわらず、輸入は増え続けている。過去五年間にアメリカのリンゴジュース市場における中国産のシェアは、四五%にまで上昇した。この業界はいまや助けを求めて泣いている。

(インドのフリージャーナリスト)
(つづく)

(新聞「農民」2005.8.1付)
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2005年8月

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