コメ入札に新ルール導入
コメ価格センター決定
狙いはさらなる米価引き下げ
大手卸中心の流通を加速
コメ価格センター(全国米穀取引・価格形成センター)は、七月十二日、全農(全国農業協同組合連合会)秋田県本部の架空取引事件(価格暴落に耐えきれず、不正手段で価格維持をはかったもの)などを理由に、入札取引の新たなルールを決めました。二〇〇五年産米の入札取引から適用される新ルールは、いずれも米価の安値安定をはかるものばかりです。
おもな内容は
新ルールの主な内容は、第一に、昨年廃止したルールを復活して、売り手に販売計画数量の三分の一の上場を義務付ける。第二に、落札率が六割に届かない銘柄は指標価格にしない。第三に、全国の作況が「九五」以下の不作の場合、買い手に過去の落札実績に応じて入札申し込みを制限する。第四に、これまで行われてこなかった端境期(八〜十月)の入札を導入する―というもの。
このうち、売り手に三分の一以上の上場を義務付ける問題では「上場数量が拡大すれば実勢より割高と指摘されている入札価格の下げ要因になることは確実」と、「日本経済新聞」(五月十九日付)も指摘。さらに、六割以上の落札率がないと指標価格とみなされなくなれば、六割確保のために売り手は自ら指し値を下げざるを得なくなります。
また、不作時には入札を制限する一方で、通常時には一社で上場数量の三分の一まで入札できる仕組みはそのまま。三社で全量買い占めや価格操作も容易にでき、ますます大手中心の米流通を加速させることになります。
価格形成に関与
今回の新ルールは、「米改革」で米の需給と価格の安定に対する責任を放棄した政府が突然、価格形成に関与し、法律上の根拠がないので自主ルールとして押し付けたものです。生産費を大きく下回る米価を当然視し、さらに「売れる米づくり」と称して産地間の安定競争をあおる「米改革」の本質を如実にあらわしています。
資本主義の権化ともいえる株式市場でさえ、「ストップ高」「ストップ安」の値幅制限があります。そもそも、米価が生産費を大きく下回っていること自体、異常なことですが、新ルールというならば、せめて値幅制限の復活こそはかるべきです。
(新聞「農民」2005.8.1付)
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