「農民」記事データベース20050725-693-05

映画

「ジャマイカ 楽園の真実」

グローバル化で貧しい国民生活をリアルに描く


 私たちは、ジャマイカという国の名前を聞いたとき、何を思い描くでしょうか。アメリカの南、カリブ海に浮かぶリゾートの島。青い海、白い砂浜、燦々(さんさん)と輝く太陽…。しかし、この映画は、ジャマイカがグローバル化の波にのみ込まれ、農民が離農に追い込まれるなど、ジャマイカの人々の生活を「楽園の真実」として真正面から取り上げたドキュメンタリーです。全編にジャマイカで生まれた音楽―レゲエが流れます。

 アメリカの女性監督、ステファニー・ブラックさんは、ジャマイカに三年暮らして、職を失った労働者・農民の姿を目のあたりにします。その原因は、「新世界秩序」というグローバル化のなかで、IMF(国際通貨基金)から借り入れた高金利な借金と融資条件として課せられた厳しい規制によるものでした。農業について言えば、WTO(世界貿易機関)への加盟により、農産物の自由化や輸出規制、補助金廃止などで、多くの農場が閉鎖に追い込まれました。酪農家は、アメリカやカナダから輸入される粉ミルクと補助金の廃止によって牛乳を路上に捨て、バナナ農家は、アメリカがWTOに訴えたためにヨーロッパ向け輸出を制限され減産に追い込まれ…。

 ジャマイカの人々は、グローバル化が何をもたらすか、気付き始めました。それは、北半球の銀行や多国籍企業・アグリビジネスを繁栄させ、労働者・農民を貧困に陥れることを。そして私たちも、この映画をみて気付くでしょう。ジャマイカの人々に嘆きの声をあげさせているのは、私たちをも取り込んでいるグローバル化にほかならないということを。

 七月十六日から、東京・渋谷UPLINK―Xにて。今後、名古屋、大阪などで上映予定。問い合わせは、アップリンク(電話03・6821・6821)

(新聞「農民」2005.7.25付)
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2005年7月

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