再起めざす農家支える農民連
鳥インフルエンザ 早く復興できるよう支援を
茨城・水海道
茨城県水海道市の養鶏場から六月二十六日、高病原性鳥インフルエンザが検出されました。その後、五件の養鶏場から、過去にウイルスに感染したことを示す抗体反応が出るなか、政府や県・市に被害の拡大防止、養鶏農家にたいする損失補償、原因究明と感染ルートの解明などを求めた農民連の取り組みと、養鶏農家の思いをリポートします。
“発信元のように書かれ心外”
人権侵害まがいも 憤慨する養鶏農家
「(マスコミに)うちが発信元のような書かれ方をされて心外です」。最初にウイルスが検出された「アレバメントカントウ」の宮本秀源社長は憤慨します。四月上旬ごろから、宮本社長の養鶏場で、鶏の産卵率の低下がみられました。「病気では」と五月下旬、民間検査機関に検査を依頼。六月上旬ごろには産卵率は元通りになりました。
ところが六月二十四日、「鳥インフルエンザの疑い」との連絡があり、二十六日、感染力や毒性の弱いH5N2型の鳥インフルエンザであることが確認されました。その日のうちに養鶏場から半径五キロメートルが家畜等の移動禁止区域に指定されました。
「管理に手落ちはなかった」と主張する宮本社長の昔からの友人、堀越道男さん(茨城県西農民センター賛助会員、日本共産党水海道市議)は「衛生管理に非常に熱心だった養鶏場からなぜ」と疑問を投げかけます。
「健康だった鶏が処分されるのが悔しい」(宮本社長)。翌二十七日から鶏の殺処分が始まり、二十九日までに飼育していた二万五千羽すべてが処分されました。
嵐のように過ぎ去った四日間、宮本社長のもとにマスコミが入り込んで、家族が泣いているところまで撮影されるなど、人権侵害まがいのことが行われました。さらに、対応に追われてパニック状態のところに、銀行から家や土地を担保に入れるよう催促の連絡。無神経な対応に腹が立つこともしばしばでした。
県職員も総動員で殺処分や消毒作業に携わり、七月七日にはすべての作業が完了。養鶏農家がなすすべもなく、成り行きを見守っているとき、いち早く行政に働きかけたのは農民連です。二十八日に茨城農民連が県に、二十九日には県西農民センターが市に(写真〈写真はありません〉)、そして七月一日、農民連本部が農水省に対策を申し入れました。農水省交渉には、北嶋誠・県西農民センター会長が上京し、現場の状況を伝えました。
農業委員を務める風見誠さん(県西農民センター副会長)、石塚寛一さん(同会員)も農業委員会で、県や市に申し入れるよう働きかけました。
各申し入れでは、養鶏農家の経営維持を図るための「家畜疾病経営維持資金」を発動するよう要求。被害農家からの「返済期間内に返せる保証はない…」との不安に応えて、「無利子、償還期間の延長」を求めています。
消費者から励まされ“やめず続けたい”
宮本社長は「事件にふたをしないで、感染ルートや原因を解明し、二度と繰り返さないよう教訓にしてほしい」と希望します。宮本社長の弟で現場の経営に携わってきた隆源さんは「これを機に足を洗う農家もいますが、お客さんから『今まで通り持ってきて』と頼まれるとうれしい。お客さんが待っている限り、やめずにまた続けたい」と再起を誓っています。
本田豊・県西農民センター副会長は「養鶏農家が一刻も早く再起・復興できるよう、引き続き、行政に働きかけ、支援したい」と話しています。
(新聞「農民」2005.7.18付)
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