「農民」記事データベース20050704-690-06

現地からの報告

中越大震災 新潟県災対連が現地調査と県・政府交渉

農道復旧遅れ 作付けできない
自力復旧しても助成えられず

 中越地震から七カ月。大きな被害を受けた新潟県では、融雪や梅雨に伴う豪雨による、がけ崩れや土砂崩壊への不安が広がっています。農民連も参加する「災害被災者支援と災害対策改善を求める新潟県連絡会」(新潟県災対連)は現地調査や行政との交渉に取り組んでいます。被災地の現状と六月九、二十一両日の県・政府交渉のもようをリポートします。


 被災地では十九年ぶりとなった豪雪もようやく解けて、山間地では五月下旬には田植えがほぼ終了。災対連は、五月十二日に小千谷、長岡両市、六月七日に旧小国町への現地調査を行い、被災状況や住民の要求を調査しました。

 小千谷市吉谷地区の棚田ではいまだに農道が復旧せず今年の作付けができない状況です。国の制度にのせて復旧となると九割以上(市町村で割合は異なる)が助成されるのですが、行政側は「査定や着工に間に合わないので今年は作付けを断念してほしい」と指導しています。

 現地の農家はこれまで地すべり防止のために木を植えたり、知恵や技術で棚田を守ってきました。「一年休めば雨などで被害が広がり、来年以降の作付けが心配。農道さえ復旧すれば応急工事を自分たちでできるのに」と話しています。

 長岡市(旧小国町)の法末地区ではいまも避難勧告が解除されず、住民は仮設住宅で生活を送っていますが、ほとんどが農家であるこの地域の住民は昼間集落へ戻り、農作業をしています。

 がけ崩れや水路が被災し作付けが難しくなった棚田でしたが、集落共同での自力復旧で、できる限りの作付けをすることができました。また、この集落では都会の消費者との交流(グリーンツーリズム)が行なわれており、“消費者のためにお米を届けたい”という思いが自力復旧に結びついています。

 ただし、この自力復旧は国の助成対象にならず費用は集落農家での持ち出しとなってしまいます。現在の制度では現場の状況とかけ離れている部分も多く、環境や地域経済を考慮した国の柔軟な対策が求められています。

(新潟農民連 鈴木亮)

(新聞「農民」2005.7.4付)
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2005年7月

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