国際会計基準と農協経営〈解説〉(下)
「減損会計」適用と損失計画固定資産の評価を回収可能なものに国際会計基準に従って、今年四月から上場企業はもちろん、農協にも「減損会計」が適用されることになりました。この「減損会計」というのは、土地・建物・遊休施設・遊休地やソフトウエアなど、有形・無形の固定資産について、回収可能価額と帳簿価額との差を、その兆候から察知して将来もその傾向が改善されないと判定された場合、帳簿価額を回収可能価額に改め、その差額(減損損失)を特別損失として計上する会計基準です。
支所・施設統廃合で急増する遊休施設いま全国の農協では、今年三月の全中総会決定の「基本方針」にしたがって、合併と支所の統廃合が急ピッチで進められています。支所統廃合では、支所の「存置最低基準」が示されています。それは、各支所に最低四人の職員を配置すること。そのために、全国平均で貯金残高百億円、長期共済保有高五百億円に満たない支所は原則として廃止するというものです。こうした支所・施設の統廃合は、これまで以上に不稼動の遊休施設・遊休地などを次々と生み出します。また、配送センター、Aコープ、給油所、倉庫など、毎年赤字経営になっている事業所も少なくありません。さらに、バブル経済の間に取得した土地や建物は、帳簿価額が過大なままに放置されているものが多数あります。こうしたものすべてが、「減損会計」の対象となり、その差額を損失計上しなければならないことになるのです。 (山本博史) (おわり)
(新聞「農民」2005.6.27付)
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[2005年6月]
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