宮城食健連が「おにぎりと憲法」農業・食料を通じて憲法を考えました食糧主権は憲法前文の国家主権を前提にしている農業・食料問題を通して憲法を考える取り組みが始まっています。「国民の食糧と健康を守る宮城県連絡会」(宮城食健連)は六月五日、ラムサール条約に指定登録されている伊豆沼のほとり、栗原市若柳で、「おにぎりと憲法」と題した憲法行事を行い、新鮮な地場の農産物を食べながら、大いに語り合いました。
外国産に負けず安全・安心なものを主催者あいさつしたのは、新日本婦人の会県本部の菅原明代副会長。新婦人が田植えや食の安全についての学習会におう盛に取り組んでいることを紹介し、「BSEなど食の安全・安心が脅かされていることに憤りを覚える。憲法を守り、平和な環境を作っていきたい」とのべました。宮城農民連の鈴木弥弘事務局長は「農業・食糧問題と憲法」をテーマに問題提起。「おにぎりは、日本民族の食料・農業を代表するキーワードだ」と指摘し、食糧主権は、憲法前文の国家主権を前提にしており、食文化の創造が、一三条の幸福追求権、二一条の表現の自由に基づくことを詳しく解明しました。 また、安全・安心な食料を求め、健康を維持することが二五条の生存権に由来することを力説。二七条の勤労の権利と義務は「農業を続けられる条件整備を国に課したものだ」とのべました。 その後、参加者が憲法や平和への思いを語り、交流しました。「名刺に憲法九条を書いて配っていた。退職して名刺がないが、今は家の塀に憲法九条を張っている」(元農水省職員)、「今は野菜を作ったりして楽しい日々を送っている。平和であるがゆえの楽しい人生。九条は後世に引き継ぐべきだ」(元教師)などの発言がありました。 農家の参加者は「農薬を使わず、自然のサイクルを守る農業を続けたい」「外国産に負けず、安全・安心なものを作る努力をしたい」など、意気高く決意表明しました。
ササニシキのおにぎりほおばり昼食では、豚の冷しゃぶ、アスパラやワラビの天ぷら、シイタケ、タケノコなど地場のものが並びました。なかでもササニシキのおにぎりをほおばりながらの交流は、話が大いに弾みました。午後からは、市内に住む菅原市治さん(80)、せつ子さん(80)夫婦が、自らの被爆体験を語りました。少年兵として広島に赴任していた市治さんは二十歳のときに被爆。原爆投下直後の街の様子や、死者・負傷者の救護活動のもようを生々しく紹介。現在では、原爆の後遺症と思われる腰痛に悩まされながらも、水泳大会でメダルを取るなどの活躍ぶりをのべ、「だれにも再び被爆体験をさせたくない。話し合いで紛争を解決し、戦争は絶対に回避しなければいけない」との訴えに、参加者から力強い拍手が沸き起こりました。 「おにぎりにつられて来た」という熊谷幸雄さん(69)=栗原市=は、実物の『あたらしい憲法のはなし』を持って参加。「憲法は身近なもの。日常不断に生活の中で生かしていくことが大事です」と話していました。
(新聞「農民」2005.6.20付)
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[2005年6月]
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