「農民」記事データベース20050620-688-07

インド農業最大の危機

〈投稿〉殺虫剤はムダ(中)

NGO活動家 デビンダ・シャルマ


使わなくても収量へらず

 大きなあやまち

 「緑の革命」が始まって三十年が経ち、農学者たちは「殺虫剤は時間と金の無駄である」と気づき始めた。土地がやせ、地下水が汚染され、農民が殺されて、ようやく彼らは大きな過ちであったと気がついた。

 国際稲研究所(IRRI)の上席昆虫学者、ギャリー・C・ジャン氏は言う。「驚いたことに殺虫剤をかけなくても収量は落ちませんでした。これは、二つの地域、六百の農地で四シーズン行われた結果です。稲作農家が使っている様々な殺虫剤は、時間と金の無駄であると確信しました」

 これは、IRRIとイギリス国際開発省(DFID)が進めている「生態学から学ぶ生活改善計画」(LITE)による。この計画に重要な役割を果たしているバングラデシュの稲研究機関によると、もしLITEがこのまま進めば、全人口の十二分の一にあたる千百八十万人のバングラデシュ農民のほとんどが、十年以内に殺虫剤をなくし、効果的に肥料を使うことができるようになる。

 30年もかかった

 フィリピンの中部ルソン地方でも同じような研究が行なわれ、ベトナムのある地域では、すでに殺虫剤を使わない運動が起きている。ここ何年もの間、農学者たちは持続可能な手段を探さずに、ただ農薬や化学肥料を推奨し続けてきたのか? 新技術は、生態や環境を考慮しないで開発されたのか? 伝統に培われた技術による発展途上国の農業の発展の可能性は無視されてきたのか?

 アメリカ国際開発庁(USAID)が推進し、発展途上国の農業研究機関が盲目的に従った技術が、人間の健康や環境に取り返しのつかない害を及ぼすという事実に気づくのに三十年もかかった。だとしたら、遺伝子組み換え作物がもたらす破壊の可能性に対し、どんな保障があるのか? 遺伝子組み換え作物の普及を強制してきた責任をだれが取るのか?

(つづく)

(新聞「農民」2005.6.20付)
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2005年6月

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