「農民」記事データベース20050606-686-08

東京都議選

都市農業 振興か切り捨てか…

問われる各党の政策と実績

 東京都議選が六月二十四日告示、七月三日投票で行われます。くらし・福祉切り捨て、大規模開発優先の石原都政のもとで、農業を重要な産業として位置づけ、振興を図るのか、国と一緒になって農民・都民いじめを続けるのか、各党の姿勢が問われています。

関連/希望がもてる都市農業に


農業予算、10年で半減

共産党のぞくオール与党下、巨大開発優先

 予算激減で研究機能は低下

 共産党を除く「オール与党」体制の下で農業予算は削りに削られました。「臨海」開発など大規模開発には、税金を湯水のように注ぎこむ一方で、農林水産対策予算(一般 会計、三宅・雇用対策を除く)は十年前の半分に(グラフ)。一般会計に占める農林水産予算の割合も十年間で三分の一に激減しました。

 また、この間、「都庁改革アクションプラン」にもとづいて、直営だった試験研究機関が統廃合され、財団に移管されています。農業、畜産、林業の各試験場は統合され、農林水産振興財団に移管。水産試験場奥多摩分場も事業が財団に移管されました。これでは、採算ばかりが重視され、きめ細かな研究・調査が不十分になり、試験・研究機能が低下するおそれがあります。

 いま都は、国の「食料・農業・農村基本計画」の見直しを受けて、二〇〇〇年に策定した「農業振興プラン」の見直しを進めています。東京の農業は、都民が消費する野菜の六・一%を生産・供給し、都民の食卓を支えています。

 しかしプランが定められて以降も、いっそう危機的な状況に陥り、食の安全・安心は大きく揺らいでいます。前計画が〇五年までの目標とした総農地面積、農業就業人口、野菜自給率などは達成できないだけでなく、さらに落ち込んでいます。(グラフ)

 各党の態度は

 くらし・福祉・農業切り捨て、大規模開発重視の予算や試験研究機関の統廃合・移管に賛成なのが、都政与党の自民、民主、公明、生活者ネット。唯一反対しているのが日本共産党都議団です。

 農家要求実現へ共産党都議団

 「農業は東京にはなくてはならない重要な産業」―。都農林漁業振興対策審議会答申の中にこう書き込ませた日本共産党都議団。農家や農業団体の声に応えて、農業振興のために精力的に取り組んできました。

 市街化区域内の農地が宅地並み課税では、固定資産税だけでも農業収入の数倍にもなり「もう農業は続けられない」と悲鳴が上がっています。一定の要件のもとで、農地課税となる生産緑地への指定が切実な要望です。

 共産党都議団は、各区市町村議員団と力を合わせ、生産緑地の追加指定を求めてきました。その後、法改正で各自治体の権限でできることになり、追加指定に積極的に取り組む農家や自治体が増えました。

 山間部では、サル、シカ、イノシシなど鳥獣害被害が深刻です。共産党都議団は、都の担当者と現地交渉し、鳥獣害対策が本格化しています。

 また、必要な農地の確保や、再生産できる価格保障制度を要求。後継者・新規就農者対策や体験農園、相続税納税猶予制度の存続など、農業が続けられるような施策の実現に尽力しています。

 東京農民連が施策充実求める

 東京農民連は、都に農業予算の充実、施策の拡充を求めて、都民とともに運動しています。斎藤勇事務局長は「都議選は、東京の農業の将来がかかっている大事な選挙です。私たちの願いを託せる政党・候補者を都議会に送りましょう」と呼びかけています。


希望がもてる都市農業に

調布市で35年以上洋ラン栽培を続けている秋間市郎さん(63)=東京農民連副会長

 以前は、植木・苗木の契約栽培やキャベツなどのふるさと野菜への助成もありましたが、今は、都の委託栽培は皆無に等しい。多くの農家は作るものもなく、作っても売り先がないのが現状です。

 営農指導などを行う農業改良普及所も市内からなくなりました。普及員が充実していれば、新しい品種や技術の開発も進みます。各試験場も統廃合されてしまっては、今まで培ってきた成果が無になってしまいます。

 高齢化と後継者不足は深刻。一家で農業をやっても一人のサラリーマン収入に満たず、農業だけでは生活できません。若い人が農業に希望を持てないのは当然です。

 農業に無策な東京都。それでも、自分で種をまいて収穫し、食べられる喜びは、普通の人には味わえません。うちにも営農ボランティアが来ていますが、都民でも土に触れ、農業に親しみたいという人は多いのです。

 都民への農畜産物の供給、緑のオアシス、災害時の避難場所としての貴重な東京の農業。さらに充実させ、体験農園や観光農園としても生かしていくことを望んでいます。

(新聞「農民」2005.6.6付)
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2005年6月

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