シリーズ直売所 北から南から
百姓百品 健康ひろば
地域活性化の拠点
「乙亥の里」内の直売所
地域の活性化のために、行政、商工会、住民、農家などが一体で取り組み、直売所がその中心的役割を果たしています。愛媛県西予(せいよ)市の「百姓百品健康ひろば」は、野村町百姓百品産直組合(農民連加盟)の直売所。地域の期待を担って、四月二十三日にオープンしました。
愛媛県西予市
開店当日、店内は、産直品を買い求める人々で大盛況。六百五十人が足を運び、加戸守行・愛媛県知事、三好幹二・西予市長も訪れました。
西予市は、二〇〇四年に野村町など五町が合併して誕生。中山間地である旧野村町の基幹産業は農業で、酪農、畜産のほかキュウリ、ナス、ピーマンなど野菜の産地です。
松山での実績から
松山市の、えひめ生協内インショップでも産直を行っている百姓百品。旧野村町の新店舗は、「乙亥(おとい)の里」という、浴場や体育館などを備えた多目的施設の敷地内にあります。乙亥の里は市が十八億円かけて造り、施設の管理は市、運営は商工会が担います。
「合併して商店街がますます衰退していくのでは、との不安の声が上がっています」と心配するのは、野村町商工会の兵頭俊彦TMO幹事長。「松山での産直の実績がある百姓百品に、町外からの客を集め、商店街に人を呼び込む役割を果たしてもらいたい」と期待をのべます。「集客のために直売所を」という要請に応えての新店舗です。
行政からも期待の声が寄せられています。「今まで商業は商業、農業は農業と分けていましたが、乙亥の里は、住民が一体となった地域振興策。地域に根ざし、伝統・文化、ぬくもりを伝えられれば。住民の財産だという考え方で応援していきたい」と、市の藤原輝明産業課長は支援を約束します。
あの店に行けば…
店の品ぞろえは多種多様。新鮮な地場産野菜のほか、豆腐、漬物、菓子、乳製品から水産物まで所狭しと並びます。販売品には、一人一人の生産者の名前が付されています。
ニンジン、タマネギ、トマトなど野菜を出荷する農家の那須喜昭さん(76)は「お客さんが欲しいものを常に考えながら作付けを工夫しています。採れた野菜がすぐに台所に上がるように、新鮮なものを届けたい。あの店に行けば欲しいものがある、という安定的な供給をめざします」と語ります。安心で新鮮な食材を提供し、生産者の顔が見え、消費者の意見を農産物に直接反映できるのが直売所の強みです。
百姓百品の事務局スタッフ、那須理枝子さんは「農家に生きがいをもって野菜を作ってもらい、農家同士が連携する拠点になれば。地元以外の消費者にも、産直野菜のよさを味わってもらいたい」とアピールします。
行政・商工会・市民・農民 一体で
期待を担って新店舗オープン
行政の支援さらに
地元住民からも期待の声が上がっています。店舗の近くで電気店を営む辰巳ツヤ子さん(75)は「よそから来た人のおみやげになるような魅力あるものをぜひ。まちや商店街が活性化するよう、みんなでがんばって盛り上げて」と注文します。
百姓百品産直組合の和気数男組合長は「地域農業活性化の拠点として、生産者と消費者との交流の場にしたい。この取り組みを軌道に乗せ、さらに発展させるために、行政の積極的な支援が不可欠です」と話しています。
(新聞「農民」2005.5.30付)
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