演劇テアトル・エコー「朝の時間」心の機微にふれる家族劇
テアトル・エコーはこれまでもニール・サイモンの「サンシャイン・ボーイズ」や永井愛の「ら抜きの殺意」など数多くの喜劇を上演してきました。昨年は「ルームサービス」(ジョン・マレー、アレン・ローズ作、酒井洋子訳・演出)で芸術祭大賞を受賞しています。今回、水谷龍二書き下ろしの「朝の時間」は、喜劇にこだわる作家と劇団の共同作業として話題を呼んでいます。「カラオケマン」「缶詰」「モンゴル帰りの爺」など話題作をうみだしている作家です。 東京郊外の都営団地に住む野崎昇平は妻の君枝と二人暮らし。昇平は七十三歳になり、目も悪くなったし、そろそろ個人タクシーを廃業しようと考えています。目下の楽しみはパソコンと囲碁。長男は中学の教師、長女は脇役女優、次男は失業中。めったに顔を見せない三人が次々と悩みを抱えてやってきます。五月のある一週間の朝だけを描いていく家庭劇。 主役を演じる熊倉一雄さんは「水谷さんのコメディーセンスは、ナタでぶった切るものではなく、小さなナイフで細かく突き続けるものだと感じた。人物設定が面白く、かつリアルだ。野崎昇平は、我々の世代に共通する、戦後からここまではい上がった、日本のつらい歴史を背負ったお父さんだ。ひとつの家族を大切にした昭和のお父さん。現代は人が互いにいろんな方向を向いているけれど、それでもつながっているのが家族なんだと、心の機微を感じて共感してもらえれば、作品の良さが伝わって絶対感動してもらえる」といいます。 演出の永井寛孝さんは「人物の特徴・癖といった無駄をはぶいた研ぎすまされた作品と感じた。けいこで野崎家の家族を中心とした人間関係をどこまでふくらませられるか、たくさん遠回りをしたい」といいます。けいこ場は、あたたかい雰囲気で、笑いがたえません。俳優の動きにもこまやかさが要求されますが、けいこの積み重ねのなかで本物がつくられていくのを感じました。 ほかに丸山裕子、安原義人、杉村理加、落合弘治らが出演。 (鈴木太郎)
*5月29日〜6月5日、東京・六本木・俳優座劇場。全席指定5000円。連絡先=テアトル・エコー 電話03(5466)3321 (新聞「農民」2005.5.23付)
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[2005年5月]
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