農水産物の輸出促進へ官民一体の協議会が発足国内農業の振興策はなし
四月二十七日、都内で「農林水産物等輸出促進全国協議会」設立総会が開かれました(写真〈写真はありません〉)。参加したのは、農水、経済産業の中央省庁関係者をはじめ、農林漁業団体、食品産業、流通業界、経済界などから役員がずらり。まさに官民一体の取り組みです。 同協議会の名誉会長に就任する島村農水相は「二〇〇四年に年間三千億円だった農林水産物・食品の輸出総額を、五年後の〇九年には倍の六千億円にしたい」と気勢をあげました。 農産物の輸出促進をかねてから主張してきた財界。その張本人、日本経済団体連合会の奥田碩会長は「農林水産物は国際競争力を持つ商品だと指摘してきた」とのべ、「農業関係者も経団連の会員に。工と農が一体になって日本に貢献しよう」とあいさつ。農産物も自動車やカメラのように“工業製品”だと言わんばかりです。 はからずも「子どものころ、日本の自動車がアメリカで売れるとは思わなかった。いま世界で高く売れている」とあいさつしたのは、来賓の小泉首相。「農業は工業製品と対立するものではない。今まで農業関係者は『工業の犠牲の上に農業が犠牲になっていいのか』と輸入阻止の立場だったが、農業は発展の可能性のある産業だ」と開き直りました。 さらに「輸入を阻止するんじゃなく、輸出できる、攻めの農業に転換していくための支援をしたい」と表明。そこには、輸入を自由化し、国内農業を破壊してきたことへの反省と、自給率向上など国内農業振興の話は一切ありませんでした。 同協議会は今後、輸出のための情報収集や販路拡大、PR活動などを行うとしています。
(新聞「農民」2005.5.23付)
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[2005年5月]
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