「農民」記事データベース20050523-684-03

農水産物の輸出促進へ

官民一体の協議会が発足

国内農業の振興策はなし


 四月二十七日、都内で「農林水産物等輸出促進全国協議会」設立総会が開かれました(写真〈写真はありません〉)。参加したのは、農水、経済産業の中央省庁関係者をはじめ、農林漁業団体、食品産業、流通業界、経済界などから役員がずらり。まさに官民一体の取り組みです。

 同協議会の名誉会長に就任する島村農水相は「二〇〇四年に年間三千億円だった農林水産物・食品の輸出総額を、五年後の〇九年には倍の六千億円にしたい」と気勢をあげました。

 農産物の輸出促進をかねてから主張してきた財界。その張本人、日本経済団体連合会の奥田碩会長は「農林水産物は国際競争力を持つ商品だと指摘してきた」とのべ、「農業関係者も経団連の会員に。工と農が一体になって日本に貢献しよう」とあいさつ。農産物も自動車やカメラのように“工業製品”だと言わんばかりです。

 はからずも「子どものころ、日本の自動車がアメリカで売れるとは思わなかった。いま世界で高く売れている」とあいさつしたのは、来賓の小泉首相。「農業は工業製品と対立するものではない。今まで農業関係者は『工業の犠牲の上に農業が犠牲になっていいのか』と輸入阻止の立場だったが、農業は発展の可能性のある産業だ」と開き直りました。

 さらに「輸入を阻止するんじゃなく、輸出できる、攻めの農業に転換していくための支援をしたい」と表明。そこには、輸入を自由化し、国内農業を破壊してきたことへの反省と、自給率向上など国内農業振興の話は一切ありませんでした。

 同協議会は今後、輸出のための情報収集や販路拡大、PR活動などを行うとしています。

(新聞「農民」2005.5.23付)
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2005年5月

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