アメリカ産牛肉で厚労省汚染度の評価は諮問しない
“輸入解禁のルール作りだ”食品安全委と厚労省に要請行動 食健連、農民連が批判内閣府食品安全委員会が五月六日に全頭検査の緩和を正式答申したことを受け、全国食健連、農民連は十二日、食品安全委員会と厚生労働省に対して、全頭検査の継続と安全対策が未確立なアメリカ産牛肉の輸入禁止の継続を要請しました(写真〈写真はありません〉)。厚労省は、これまで“同等の安全性が確保されることが輸入再開の条件”と繰り返し述べてきたことをくつがえし、SRM(特定危険部位)の除去を条件に二十カ月齢以下の牛肉の輸入再開を食品安全委に諮問する意向を明らかにしました。厚労・農水の両省は、五月十三〜二十日、全国九会場でリスクコミュニケーションを開催。その後、今月中にもアメリカおよびカナダ産の牛肉の輸入再開を諮問する予定です。その条件は、(1)肉の成熟度を目視して二十カ月齢以下かどうか判断し、(2)日本向けのみ全月齢の牛のSRMを除去するというもの。しかし、(1)については、二十一カ月齢以上の牛肉が混じる可能性が十分あり、(2)についても、全体では三十カ月齢以上の牛でしかSRMを除去しないもとで確実な実行が担保されるのかなど、大きな問題があります。 さらに、諮問内容からアメリカ・カナダ全体のBSE汚染度の評価が抜け落ちていることは極めて重大。アメリカは清浄国だと言い張っていますが、飼料規制の不十分さは自国の会計検査院から指摘されており、BSEが広くまん延している可能性も否定できません。そうなれば、たとえSRMを除去し、月齢を限定したとしても、危険度ははるかに高くなります。 要請ではまた、早期解禁に向けてしゃにむに突き進む厚労省の姿勢が鮮明になりました。同省はすでに全頭検査緩和のための省令改正のパブリックコメントを始めており、八月上旬の施行を目指しています。その一方で答申が指摘したピッシングの中止などは置きざりに。矛盾を指摘されて、担当者が答弁に窮する場面もしばしばでした。 農民連の笹渡義夫事務局長は「アメリカの圧力による輸入解禁のルールづくりとしか思えない」と指摘。消費者からは「厚労省は感染者を一人も出さないという姿勢でやってほしい」との怒りの声があがり、佐々木健三会長は「あくまで目標はBSEの根絶だ」と述べ、重ねて全頭検査と輸入禁止措置の継続を求めました。 食品安全委には、国民の安全よりアメリカの要求を優先する答申に抗議し、撤回を申し入れました。
(新聞「農民」2005.5.23付)
|
[2005年5月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会