「農民」記事データベース20050502-682-12

旬の味


 日本で治療を受けた時は元気な姿を見せていたイラクの少年アッバース・アリ・アルマルキー君(六歳)が白血病で亡くなった。名古屋のNGOの支援で来日した、あのあどけない笑顔をテレビで見た人も多いのではないだろうか▼イラクのバスラで生まれたアッバース君の父親は兵士で、湾岸戦争で劣化ウラン弾を浴びた。劣化ウラン弾は、原子爆弾を製造する過程でカスとして捨てられるウラン238を砲弾のしんに使用した爆弾。この物質は、比重が鉄の二・五倍もあり、硬くて重いため、戦車や地下の軍事施設も破壊する▼しかし劣化ウラン弾は、目標を貫通する時の摩擦熱で放射性ウランを放出。その微粒子は気流に乗って広範囲に拡散し、それを吸った兵士や住民に、白血病、肺がん、染色体異常を引き起こす。この恐ろしい兵器をアメリカは湾岸戦争やイラク攻撃で大量に使用した▼そして今、ろくな検査をせず、危険な牛肉を日本に押し付けるアメリカ。アッバース君の死は、その人命軽視の姿勢を告発している。

(慎)

(新聞「農民」2005.5.2付)
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2005年5月

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