ひっ迫する世界の米市場(下)将来は生産量も在庫率も低下
アメリカの民間研究機関である食料農業政策研究所(FAPRI)は、アイオワ大学・ミズリー大学の研究者を中心に、世界各地の研究者の協力も得て、主要農産物に関する需給・貿易の長期見通しを発表しています。 今年三月時点での最新データを見ると、世界の米市場は今後、ひっ迫傾向がますます強まると予測しています。 米の栽培面積は、最高時(一九九九〜〇〇年)一億五千五百万ヘクタールありましたが、今から十年先の一四〜一五年には一億四千九百万ヘクタールとなり、六百万ヘクタール減少。その年の米生産量は四億五千万トンで、人口一人あたりでは六十三キロとなり、最高時(〇一〜〇二年)の六十七キロと比べて、四キロ減少する見通しになっています。 世界の期末在庫率も、最高時(〇〇〜〇一年)の三九%から二〇%弱に低下し、価格も年々上昇して一トン当たり三百五十ドルに達すると予想されています。(図1)
アジア諸国による米輸入は、〇三〜〇四年実績の二・五倍に増加。インドネシアの四百五十万トンを中心に、総量で九百万トンに達する見通しです。(図2)
いつまでもあると思うな世界のお米世界の米生産量のうち貿易されるのは、多い年で八%、少ない年はわずか三%しかありません。貿易率が二〇%を超える他の穀物と異なり、米は「国内自給商品」を特徴としています。昨年「国際米年」が呼びかけられましたが、国内ではまったく逆行する米政策がごり押しされました。しかし、グローバルな米情勢は、日本でも米を作る農地や農民を大切にする政治の実現が緊急課題であることを教えています。 (おわり) (山本博史)
(新聞「農民」2005.5.2付)
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[2005年5月]
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