国会だより
審議中の経営基盤強化促進法案
会社への強制的な農地集積狙う
今国会では、農業経営基盤強化促進法案が審議中。四月二十一日には衆議院農水委員会で、日本共産党、民主党、社民党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
この法案は、「構造改革特区」を全国展開して、リース方式で株式会社が農地を取得できるようにすることが柱。同時に、市町村の権限を強化して、十五年間で二十一万ヘクタールも増加し二〇〇〇年時点で三十四万ヘクタール、全農地の七%にもおよんでいる耕作放棄地や遊休農地を解消する対策も含まれています。
市町村の権限は三段階に分けられます。第一は、農地所有者に遊休農地を管理させる措置命令(草刈りや土砂の除去など)の発令。この命令に従わないときは市町村長が代執行(費用は農地所有者から徴収)します。
第二は、遊休農地の所有者に対する勧告。これにも従わない場合には、市町村と農地保有合理化法人、さらに新たに特定農業法人を加えて、農地の利用権を設定するため、買い入れ・借り受けの協議相手を定め、農地所有者から第三者に利用権を設定することができます。
第三には、遊休農地の所有者が、これらの協議にも従わない場合、県知事の裁定で第三者に特定利用権を設定できることです。
このように、遊休農地を解消するため、市町村がかなり強権的な措置をとることも可能になる同法案。一方では、「特区」の全国展開で、市町村や農地保有合理化法人から農業に参入しようとする株式会社への転貸も可能になります。つまりは、遊休農地解消の名目で、株式会社への強権的な農地集積がねらいといえます。
(新聞「農民」2005.5.2付)
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