風かおる薩摩路 鹿児島から旬のたより青年部、女性部つくりたい東串良農民組合「これで青年部、女性部ができる」――鹿児島県の東串良農民組合は、農家の要求運動を通じて、青年部、女性部を結成しようと張り切っています。この元気な農民組合の取り組みを紹介します。
“要求運動を軸に”は私らの十八番大隅半島の中ほどに位置し、志布志湾に面している東串良町。人口七千五百人、総世帯数三千戸のうち農家数は千二百戸。専業農家が多く、広大な農地を生かして、メロン、スイカ、キュウリ、ピーマンなどの大規模な園芸作物が盛んです。
総会で意気投合三月二十八日、村尻勝信常任委員を迎えて開かれた、東串良農民組合と農民連全国連との懇談会。ハウス、露地、畜産、米農家など多彩な顔ぶれの十四人が集まりました。会場は、隣の志布志町にある焼肉屋。会員で、牛肥育農家の前田隆さんが経営しています。懇談会は、一月の組合定期総会がきっかけ。「青年部、女性部をつくろう」と意気投合しました。 「農業経営や運動の後継ぎを育てるためにも、青年部、女性部の結成が必要。活動について最初から形を決めて、あれこれの仕事や役割を考えるのでなく、その人たちの要求に基づいた活動をどんどんやってもらおう」との村尻常任委員の呼びかけに、一同納得し、大いに元気づけられました。
漬物交流会、子育てカラオケ、ゴルフ… みんなで元気に焼肉料理を囲んで焼肉料理を囲み、話が弾んだ懇談会。最初に口火を切ったのは女性です。「まず父ちゃんへの愚痴から始めてもいいんじゃない。漬物交流会を開いてみんなで料理を教え合ったり、カラオケをしたり。早く女性部をつくりたいね」と、トマトを栽培している竹下恵三子さん。これにキュウリ農家の鶴園安子さんが「子ども連れのお母さんは、話し相手を求めている。気軽に参加できるようにしよう」と応じました。会場を提供した前田さんの長男、隆博さん(34)は焼肉店の店長を務め、二男の喜幸さん(32)は、子牛の生産を手伝っています。隆博さんは「生産者の顔が見えるものを消費者は求めています。父、弟たちが大事に育てた牛を、自分の手で調理して、消費者に届けることで、畜産の発展に貢献したい」と抱負を語ります。 キュウリを作っている今村和幸さん(37)は「ボウリング、ゴルフなどで交流し、楽しめるものを。上から言われてやるのでなく、みんなでつくり上げていくものにしたい。こうした活動が農業青年の目に触れ、青年会員が増えることにつながるはず」と期待します。
6年で6倍に成長「要求に基づく活動で会員を増やしてきたのは、東串良農民組合のよき伝統」と宮地利雄副会長は胸を張ります。一九九九年に十一世帯、二十二人で発足した組合は、六年後には、六十三世帯、百二十二人の六倍に大成長。その間、税金の記帳会や軽油免税の学習会を何度も開くなど、価格低迷と重い税負担で苦しむ農家の「駆け込み寺」としての役割を果たしてきました。施設園芸が多いこの地域。「重油を何とか減免できないか」という要求が新たに出されています。吉川満志会長は「こうした要求に応えるには、もっと大きな農民組合を築かなければ。会員を増やすには、青年、女性の力が必要です。四年後には、百世帯、二百人の農民連にしたい」と、更なる前進を誓っています。
(新聞「農民」2005.4.25付)
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[2005年4月]
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