ひっ迫する世界の米市場(中)
タイで干ばつ、被害深刻化世界最大の米輸出国タイ。いま、ここで起きている深刻な干ばつ被害が世界の米市場に重大な影響を与えています。その実情を、現地報道から見てみましょう。とくに大きな被害が出ているのは、全国の水田面積の五五%を占める東北部です。ほとんどのダムが干上がって底を見せ、かんがい用水路のある所でも水が来ません。 タイ政府は、国王の直接指導のもとで、飛行機十七機をチャーターして人工雨を降らせる対策を加速させる一方、全国で水稲栽培の抑制を呼びかけています。 とくに中部平原のデルタ地帯を中心とした二期作(乾期作)米の作付面積を、通常の六十四万ヘクタールから六万四千ヘクタールに減らすよう指導。実に九割におよぶ減反です。 これは、わずかに残った上流のダムの水を、河口デルタに展開する工場団地へ、工業用水として優先確保するためです。 干ばつによる家畜への影響も懸念されています。牛のエサとなる草が生えてこず、飲み水も不足しています。 タイでは、ベトナム戦争時代に、反政府グループを追い出すための入植政策が各地で展開されました。これに伴う森林破壊が、近年頻発する干ばつの根本原因になっています。米軍出撃基地の多かった東北部では、面積の六二%を占めていた森林が、一二%にまで減少しています。 タイ政府は、「国内消費米は確保できる」と発表していますが、干ばつに伴う米輸出の見通しについては明らかにしていません。 (つづく) (山本博史)
(新聞「農民」2005.4.25付)
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[2005年4月]
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