「農民」記事データベース20050418-680-14

この人

自分も納得し食べられる味を

宮崎のキンカン農家 西岡 秀記さん(33)


 「宮崎のような自然の多いところで仕事をしたかったんです」。宮崎県串間市でキンカンを栽培・出荷している西岡秀記さん(33)は、笑顔を浮かべます。

 奈良で、運送会社の営業の仕事をしていました。当時、宮崎へはたびたびバイクで旅行に。自然の豊かさ、人々の温かさに触れ、いつしか「宮崎で仕事ができたらいいね」と、妻の芳子さん(31)と夢を語り合っていました。三年前の結婚を機に、念願の宮崎に。

 当初は、「イチゴを作りたかった」とのこと。「有機栽培の知識なんて何もなかった」のに、ハウスを提供してくれた農家がキンカンを有機栽培していたのをそのまま引き継ぐことになりました。

 キンカンのおいしさ、栽培・収穫の楽しさを味わい、キンカンの魅力にはまりました。それまでは「作ること」と「食べること」を区別していましたが、実際に栽培してみて、「人に売るものならば、自分も納得して食べられるものでなければ。安全に食べられるものを提供したい」と強く思うようになり、農薬や化学肥料を使わない有機栽培にこだわっています。

 栽培一年目は注文がほとんどありませんでしたが、販路開拓の努力が実り、二年目は、問い合わせや注文が多くなりました。ところが秋の相次ぐ台風で、収穫が少なく、注文に応えきれませんでした。

 そのうえ台風で、家の裏の木が倒れ、屋根が壊れました。停電に断水…。自然の脅威を目の当たりにして、「もう奈良に帰ろうか」と一時は思ったことも。

 しかし、こうした困難に負けずに「キンカンの味にまだ納得できない。自分が納得できるものを作り、売りたい」と意欲を燃やしています。芳子さんのおなかには五月に生まれる予定の赤ちゃんがすくすく育っています。

(新聞「農民」2005.4.18付)
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2005年4月

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