鹿児島から旬のたより風かおる薩摩路にさわやかに女性部誕生南さつま農民組合鹿児島で、農民連の仲間づくりや女性部・青年部結成の動きがかつてなく広がっています。地域農業の発展・振興に大きく貢献している農民連の組織作りの取り組みを紹介します。
「豆腐を作りたい」「直売所に四季に合わせた旬のものを出したいね」「豆をもっと増やそう」…。活発な議論が交わされたのは、三月二十五日に枕崎市で行われた南さつま農民組合女性部の結成総会です。懇親会では、カツオ、黒米、手作り豆腐など、テーブルいっぱいに並んだごちそうに、十八人の参加者は舌鼓を打ちました。 この記念すべき日に女性部に入会したのは、上釜セイ子さん。地元の直売所「薩摩路」にツワブキを出すことになりました。「今度はタケノコを出したい。去年は、家に山積みになっていたタケノコで夫婦げんかをしたけど、今年はけんかしなくて済む」と笑います。
全国の総会での発言がきっかけ「組合ができてから十五年。結成当初、直売所のことは頭にあっても、女性部のことは考えていなかった」。南さつま農民組合結成以来、会長を務める下屋一美さんは感慨深げに振り返ります。女性部立ち上げのきっかけは、二月に都内で開かれた農民連女性部総会での豊留栄子さん(枕崎市)の発言です。「今年は、鹿児島県にも女性部を作りたい。そのためには、まず女性会員が多い私たち南さつま農民組合から」。力強い決意表明に、参加者から大きな拍手が送られました。 枕崎市など周辺市町村で構成される南さつま農民組合。薩摩半島南部は、山間地が多く、エンドウ、タンカンなどの栽培が盛んな半農半漁の地域です。働きに出る男性の代わりに、女性がエンドウや茶を作り、農業の重要な担い手となっています。 市内に荒れ地や遊休農地がほとんどないのも特徴。それは女性たちが、荒れ地にならないように畑を一生懸命耕しているからです。女性が農業の主役だからこそ、女性会員も多いのです。
直売所を仲間作り、交流の場に直売所「薩摩路」支える女性たち農業に従事する女性の心のよりどころになっているのが「薩摩路」です。三年前、県道沿いという立地条件のいい場所に設置されました。以来、薩摩路で販売に携わってきた板敷弘子さんは「女性会員は、直売所を中心に動いていました。農業に携わっていなくても、加工品なら出せるという人でも気軽に参加できます。薩摩路を支えているのは女性なのです」と胸を張ります。薩摩路の運営に参加している浜田たみ子さんは「ピーナツ豆腐やよもぎ団子などの加工品を出したい。品数を増やして、開店時間を長くする努力とともに、もっと目立つような工夫をしないと」と意欲的です。 農業委員を務める松山文子さん(県連副会長)は、農家の声を行政に届けてきました。今年は、五年に一度の農家戸数調査の年。松山さんは、一軒でも多く農家と認めてもらえるよう各戸を訪問し、担当した四十戸余りの調査をやりきりました。これまで九百九十九戸だった農家数が千百戸を超えるなど、農家の掘り起こしに尽力しました。
女性部活性化の大きなカギは…松山さん、豊留さんは、都内での総会後、女性部立ち上げのために、薩摩路に参加している女性を会に迎え入れるなど、仲間作りに走り回りました。新しい仲間を迎えて開かれた結成総会。高橋マス子全国連女性部長の「みなさまが『ものを作ってこそ農民』の心意気で集まり、互いに励まし合って、地域の農業を支えていくことを期待します」との連帯メッセージが紹介されました。 内規と、(1)生産を広げる上で欠かせない女性や高齢者の力の結集と強化(2)要求を基礎に楽しくためになる活動(3)薩摩路を地域から頼りにされる直売所に発展させる―を内容とする決議を採択。会長には松山文子さんが選ばれました。 松山さんは「薩摩路を仲間作り、交流の場へと発展させ、地域に頼りにされる場所にしたい。それが女性部活性化の大きなかぎです」と語ります。
(新聞「農民」2005.4.18付)
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[2005年4月]
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