「農民」記事データベース20050404-678-12

改悪農協法が狙うもの(2)


組合員参加の共販を否定

 いま全国各地の農協では「経済事業改革」が進められており、生活購買店舗(Aコープ)をはじめ、物流・農機・自動車・給油所などの拠点施設が「外部化・会社化」されています。

 農協の経済事業は、農家経営にとって最も重要な活動分野です。しかしいまの市場条件では、赤字部門となることが避けられない状況におかれています。ところが「経済事業改革」では、農業関連経済事業の専属損益(共通管理費配賦前の事業利益)を「三年間で収支均衡を実現」することが目標とされ、農協の経済事業の改善のために、農家経営が犠牲にされる恐れがあります。

 他の組合への出荷も可能に

 今回の農協法改定に伴う定款改正では、農協販売事業に「員外利用規制」の特例を設けて、農協が他の農協組合員の農産物も販売できるようにする規定が行われています。

 個々の組合員の有利販売への意欲を結集して販売力に生かす共同販売(共販)は、農協が戦前の産業組合時代から努力を積み上げてきたものです。組合員が主体となって参加するからこそ販売力を強化できるのが、共販の基本です。どこかよその組合の役職員まかせにするのは、この重要な活動から組合員の参加を排除することになり、農協を集荷業者の一つにしてしまい、基本性格を損なわせてしまいます。

 脱退しても出資金が戻されない

 協同組合原則の第一項として歴史的に掲げられてきたのは、「組合の公開性」または「加入脱退の自由」です。意思のある人なら誰でも加入することができ、脱退も任意にできるのが原則で、これまで農協法でも予告による任意脱退が認められてきました。

 しかし今回の改定では、「持分譲渡による脱退を原則とする」とされ、また出資口数を減らす際にも「承認する場合の理由を規定する」ことになりました。これは、農協の出資金が急激に減少するのを避けるための措置です。国際会計基準の見直し案に、協同組合の本質をゆがめるという批判が相次ぐなかで、これを先取りした改定です。

(H・Y)
(つづく)

(新聞「農民」2005.4.4付)
ライン

2005年4月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会