「農民」記事データベース20050404-678-10

演劇

演劇工房上演「土の中の馬賊の歌」

暗黒時代に情熱的な2人の詩人の人生描く


 グループ演劇工房が上演する「土の中の馬賊の歌―小熊秀雄と今野大力」は、日本の十五年戦争といわれる長い戦争の時代に、プロレタリア文学運動に情熱をかたむけた二人の詩人の人生を中心に描いた作品です。小熊秀雄は「しゃべり捲くれ」など、激しい心情を真正面からうたいあげ、今野大力は「花に送られる」などの理知的な感性でうたい、ともに詩精神のさえをみせる作品が魅力です。二人は北海道・旭川の出身で、東京にでてきたときには同じ部屋に住む時期があったというほど親しい仲でした。

 タイトルは小熊秀雄の童話からとられています。しかし、舞台では、一つの童話と二つの短歌、三十一の詩をとりあげています。詩人では壷井繁治、中野重治、舟方一など、それぞれの作品がどういう状況で発表されたのか、詩の活動がどのようにされていたのかなどを考えて、舞台に登場する仕組みになっています。この演劇集団の特徴である群集シーンの見せ場も用意されていて、即興の生演奏とともに、劇的効果を高めることになります。

 演出の木内稔さんは「二人の生涯を、運動する精神の軌跡としてとらえて舞台にたちあがらせようという試みなのです。言葉たちが圧殺されていく時代に、詩人たちはどのような詩的行為によって戦争とファシズムの時代に抗ったのか。ぼくらはその時代に向き合うことによって、演劇行為を果たそうとしている」といいます。

 けいこ場では、役者が詩を読むという大きな課題に挑戦しています。「いろいろな読み方をすることによって新しい発見がある。役者たちが自分の生き方とかかわらないで詩を読むだけではだめなわけで、どのように深く言葉と向き合っていくかが重要」と木内さん。「劇中劇」になぞらえた「劇中演詩」の試みも楽しみです。

 台本・グループ演劇工房・協働者。出演は石渡孝、菅原司、松井孝之、門岡瞳、をはり万造ほか。

(鈴木太郎)


 *4月14日〜17日、東京・池袋・東京芸術劇場小ホール2。一般4000円。連絡先=演劇工房 電話03(3923)7726

(新聞「農民」2005.4.4付)
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2005年4月

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