「農民」記事データベース20050404-678-04

私と憲法

 三月五日の北海道農民連女性部の総会で、前衆議院議員の児玉健次さんが「憲法九条を生かそう―戦没農民兵士の手紙から」と題して、約一時間記念講演を行ないました。その一部を紹介します。


戦死した農村青年の遺影が語るもの…

児玉健次(前衆院議員)

 農家に伺うと、仏壇がある座敷には、二十歳前後の青年の写真が、何軒かに一軒は必ずあります。戦争で命を失った農家の人たちはあまり多くの事を書き残していませんが、今から五十年近く前に出された岩波新書の「戦没農民兵士の手紙」という本を材料に、ご主人や息子が戦争に行って命を失い、待ちわびていた奥さんや母親がどんなに悲しんだか、考えてみましょう。

 戦争に行った農家の若者には、街の若者にはない特徴がいくつかあります。岩手県の小作農民、陸軍伍長で二十四歳で死んだ小田島さんは、お父さんに出した手紙で、「軍隊にきたおかげで、どろどろの道でも立派な革靴を履いて歩いているよ」と書いています。当時の農村では、雨が降ったら草履(ぞうり)を脱いで、裸足で歩いたんです。家族を安心させようとしているあたりは、非常に特徴的です。

 もう一つは、男手がなくなった農作業がどんなに大変か、もし生きて帰れたらその苦労を一緒にしたいという思いも、街の若者にはないことです。ものすごく危険な戦場でもふるさとでの農作業をひとときも忘れていません。

 憲法の前文、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」―ここに憲法の核心があります。憲法をしっかり守ることは、農業をしっかり守ることと同じです。戦没農民兵士を二度と出さない、という思いで取り組みの輪を広げていきましょう。

 (参加者から「九条のすばらしさを知って、多くの人に知らせていきたい」などの感想が寄せられました)

(新聞「農民」2005.4.4付)
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2005年4月

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