意気込みにこたえて県連事務所で勉強会本格的に就農めざす3人の中高年者石 川昨日までの曇り空がうそのように晴れわたり、春本番を思わせる三月五日、石川県農民連事務所で苗づくり勉強会が開かれました。今年から農民連に入って本格的に農業を始めようと意気込む、南好孝さん(60)、宮田順一さん(48)、中川幸夫さん(64)の三人が、「苗づくりを学習したい」と県連に持ちかけたことがきっかけです。
安全・安心な米づくり 自分の体験通じて志す三人はみな、それぞれに仕事をもち、自らの体験を通じて安全・安心でおいしい米をつくり、日本農業と豊かな自然を後世に残そうと志す人たちです。
おいしい米を―南さん参加者の一人、南さんは、三月末にNTTを退職しました。「名古屋に三年ほど単身赴任をしているが、米がおいしくない。この米はどこから来るんだろうと疑問に感じた。石川農民連の有機栽培米を食べたらほんとうにおいしく、友人にも勧めたところ大好評だった」と言います。この経験が、無農薬・有機栽培に興味を持つきっかけ。「これからの時代は、米づくりを守る農民連の活動が主流になる。いずれは三十ヘクタールの稲作を目指す」と意気軒高の南さん。就農するなら無農薬・有機栽培に挑戦しようと決めています。
環境変化憂う宮田さん宮田さんはダイバー。川や海など水質汚染の現場に遭遇したことから、これまで小作に出していた先祖伝来の田んぼで、自ら米をつくる決意をしました。「自然にまかせる無農薬・有機栽培の取り組みはすばらしいと思う。川に魚が一匹もいない状態はおかしい。海に潜ると奇形の魚が多くなっている。いま、富山湾の湧水(ゆうすい)調査に参加しているが、立山連峰からの湧水が百年前のものから、十年ほど前のものになっている」と環境の変化を憂います。「集落の農家がどんどん離農する。その田んぼを引き受けたい」とも語っていました。
健康気づかう中川さん「高校のときに体を壊して以来、常に健康に気をつかってきた。これからもっと学習し、挑戦していきたい」と言うのは、兼業農家の中川さん。長く鉄工所で働いた後、今はパート仕事のかたわらで米をつくり、さらに無農薬で数十種類の果樹を育てるという新たな試みにも挑んでいます。中川さんが、無農薬・有機栽培を始めたのは三年前でした。
技術の向上と、生産者の拡大と石川農民連では現在、十人の組合員が無農薬・有機栽培、環境にやさしい米づくりを行っています。県連は、こうしたこだわりの米を慣行栽培の米とともに、農民連ふるさとネットワークが取り組む準産直米の運動を通して街のお米屋さんに販売。そのなかで、栽培技術を向上させることと、生産者の拡大の必要性を感じ、これまで時期に合わせた学習会や品評会を開催。NPO法人民間稲作研究所理事長の稲葉光國氏を講師に学習しています。苗づくり勉強会では、種もみの準備から丈夫な成苗を作るまでの一連の流れを学習します。「苗づくりは、米づくりの基本。丈夫な苗を育てなければ、無農薬・有機栽培はできない。自然の摂理に従うことが重要」と、講師の牧田孝允・県連事務局次長は強調します。自らの体験に基づいた科学的な説明に、参加した三人は真剣にメモを取りながら聞いていました。 午後行われた温湯(おんとう)殺菌の実習は、まず牧田さんが実演。一回に八キロの種もみを漬けることができる装置に、用意してあったもみ袋を湯に漬けた後、雪を交ぜて冷やした水に入れ、冷却します。囲んで説明を聞いていた参加者も加わり、小分けされた二・五キロのもみ袋を三袋ずつ順番に殺菌し、一時間ほど続けました。 苗を無農薬で育てるには、十分な種子消毒が必要です。それが、六〇度の湯に七分ほど漬ける温湯殺菌。最近は農薬より効き目があると認められ、一般に普及してきました。
もっと農家ふやしていかないと県連の山次喜康会長は、「種が芽を出す時期は寒く、育つ時期はあたたかい。本来の自然のサイクルに合わせる農民連の無農薬・有機栽培の取り組みが、ますます重要になってきている。兼業農家を守り、作る農家を増やして、日本の農業を守らなければ」と意気込みを語っていました。
(新聞「農民」2005.4.4付)
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[2005年4月]
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