「農民」記事データベース20050328-677-11

旬の味


 母は九十八歳の誕生日を一月に迎えた。まだ目も耳も確かで、ボケも少ない▼特別養護老人ホームに空きがなく、近所の医院に入院している。いつも「悲しいから一緒に居て」とか「迷惑をかけるから早く死ななあかん」と訴える▼私は週二回の訪院で、洗濯物と紙オムツ、水分補給のためのジュースを持っていく。食事はミキサー食なので、ジュースは大好物である。衣類の整とん、オムツの補充をしながら、顔や手足をふく。寝具のしわをのばしながら農作業の話をすると、自分もやっている気分になり、心が和むという。オムツを取り替えると寝てしまう▼しかし、母のように最低の年金だけで入所できる施設は少ない。今、施設入所の垣根は高く、平均で十万円くらい。資産の有る無しで入所を判定される施設もある▼そのうえ小泉内閣がねらう介護保険の改悪で自己負担が増やされたら、兄も私も年金生活の身で負担に耐えられない。大切な親に安心して老後を送ってほしいと願うのは、私だけではないだろう。

(す)

(新聞「農民」2005.3.28付)
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2005年3月

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