「農民」記事データベース20050328-677-06

評判高い飼料イネ

研究・普及の情報交換会


量不足の解消へさらに

 飼料イネの研究・普及に関する情報交換会が、三月十、十一日、栃木県塩原町で開かれました(写真〈写真はありません〉)。畜産草地研究所などが主催したもの。全国から、研究者や行政の担当者、農業改良普及員など二百人余りが参加しました。

 飼料イネとは、稲の米粒が完熟する前に、穂と茎葉を同時に刈り込み、サイレージ化した粗飼料。二〇〇〇年度には全国で五百ヘクタール程度の作付けでしたが、二〇〇三年度には十倍の五千二百ヘクタール以上に拡大しており、粗飼料の国内自給に向けて、期待が高まっています。

 情報交換会では、「出口から見た飼料イネ生産の展望と課題」と題して、農業ジャーナリストの信岡誠治さんが基調講演。続いて岩手県紫波町、栃木県氏家町、埼玉県妻沼町、富山県婦中町、静岡県森町、徳島県板野町、熊本県球磨地方の七つの地域から取り組みが紹介されました。

 このうち岩手県農業研究センター畜産研究所の平久保友美さんは、若手肉用牛農家の「しわ牛研究会」設立を契機に支援に入り、飼料イネを導入した経過を報告。しかし「農家の評判は良好だが、十分な量が確保されていない」と言います。

 「なんとか減反割り当てを達成するために、飼料イネに飛びついた」という栃木県氏家町農政課の今野進さんは、「米改革」による交付金減額の影響を紹介。

 静岡県中遠農業改良普及センターの石神京子さんも、「森町で飼料イネ生産が定着したのは、熱心なオペレーターがいたこと。しかし、今後の『米改革』に大きく影響を受けるだろう」と述べました。

 また、畜産草地研究所の塩谷繁さんら三人の研究者から最近の研究成果が報告され、農水省の担当者は財政的な支援制度について説明。総合討議の座長をつとめた畜産草地研究所の吉田宣夫さんは、「この情報交換会の成果を、今年の作付け拡大に実らせるよう、各地のいっそうの取り組みに期待したい」と、呼びかけました。

(新聞「農民」2005.3.28付)
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2005年3月

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