改悪農協法が狙うもの(1)
組合員主権を奪う暴挙いま全国の農協で、定款改正のための総代会が開催されています。今回提案されているのは、昨年六月に国会を通過し、今年四月一日に発効する農協法改定に伴うものです。政府提案のねらいは「農協事業機能の十全発揮と中央会指導機能の明確化」などと説明されていますが、前二回の農協法改定(九六年と〇一年)が「農協改革二法」などと称されて信用事業の「JAバンク」化に重点が置かれたのに対し、今回は経済事業と共済事業の改善が重点とされ、中央会権限のさらなる強化もねらわれています。
全中が全国の農協指導基本方針示すとくに中央会権限については、前回の農協法改定でも強化されました。全国の農協や連合会の「模範定款例」を役所に代わって定めることができるようになり、また中央会による決算監査の対象も、経済事業を行う農協だけでなく、全農など信用事業を行わない連合会にも拡大。さらに中央会による指導結果を農協総会で組合員に報告することが義務づけられるなど、これまでにない権限強化が行われました。そして今回はこれに加えて、全中総会が全国の農協に対する基本方針を決定することができるようになりました。全中は早速、三月四日に総会を開き、四月発効のこの権限を前倒しで行使。担い手づくり、経済事業改革、経営改善の三課題を重点とする基本方針を決定しています。農協の基本方針は組合員が各農協の総会でそれぞれの地域の実情を踏まえて自主的に決定するのが協同組合として当然ですが、この組合員主権まで奪う暴挙といえます。
農協の合併で総会決議の省略も農協合併の手続き簡略化についても、組合員投票を不要とした前回改定につづき、今回も組合員自治を後退させる動きが強められました。農協の合併と事業譲渡について、消滅する組合の組合員数・資産額が、存続する組合の二十分の一以下の場合、存続組合では、総会手続きを省略できるというものです。見逃せない動きです。 (つづく) (H・Y)
(新聞「農民」2005.3.28付)
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[2005年3月]
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