「農民」記事データベース20050328-677-04

第30回国際食品・飲料展

フーデックス・ジャパン2005

アメリカ産牛肉輸入再開急げの署名集めて圧力


安全・安心PRのカゲでうごめく大企業の戦略

 三月八日から十一日にかけて千葉・幕張メッセで開かれ(写真左〈写真はありません〉)、九万二千人が訪れた「第三十回国際食品・飲料展」(フーデックス・ジャパン二〇〇五)。多くの出展者が、BSEや鳥インフルエンザ、GM(遺伝子組み換え)といった食品の問題に対する消費者の不安に配慮して、安全・安心をアピールするなか、アメリカブースでは、同国産牛肉の早期輸入再開を求める署名が集められ、異彩を放っていました。フーデックスは、世界・地域七十五カ国、約千六百社、国内から約七百社、計二千三百社ほどが出展するアジア最大の食品・飲料見本市です。

 安全対策を棚に上げて

 全頭検査をやらず、感染の危険が高いSRM(特定危険部位)も三十カ月齢以上の牛でしか除去しないアメリカ。同国のブースの一角には、そのずさんな安全対策を棚に上げ、「アメリカ産牛肉の全面的早期輸入再開を求める会」の署名用紙(写真右〈写真はありません〉)が、小さな星条旗の横に置かれていました。

 ブースで出展していた同国最大の食品加工会社、タイソン社は、三十カ月齢未満の牛に対してもSRMを除去することで安全性をアピール。しかし、独自に取り組んでいるというBSEの検査方法は説明されず、全頭検査を行う予定はありません。

 同じアメリカブースでも出展者の意見は様々です。家族経営の畜産業者を中心とするホルソム・ハーベスト社は、国の方針とは別に全頭検査を行うことを計画しています。「日本に何回も来て、トレーサビリティーについて学んでいる。全頭検査の実施は当然だ。私も母親として、子どもに安全なものを食べさせたい」とウェンディ・エリエット社長は語っていました。

 利便性には触れないで

 一方、国内の会場で特に目を引いたのは、多くの電子産業の企業が出展する「食品トレーサビリティ展」。バーコードやICチップなどを使って生産履歴を表示する新しい電子技術が紹介されていました。しかし、オムロン社の説明では、開発したシステムを導入した企業の成功例が強調される一方で、消費者がいかにわかりやすく生産履歴を知ることができるのかという利便性にはふれません。

 いたるところで目につく安全・安心な食料のための有機、無農薬、トレーサビリティーというキャッチフレーズの影で企業の戦略がちらついていました。

(新聞「農民」2005.3.28付)
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2005年3月

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