農民が受け継いできた五百数十年の伝統文化 黒川能山形・櫛引春日神社
ゆらめくろうそくの炎のなか幻想的庄内産直センター「観る食びツアー」山形・庄内産直センターは二月二十五日から二十七日まで、「雪の出羽路を踏みしめ、伝統文化を観る食びツアー」を行い、地元をはじめ神奈川、東京などから十人余りが参加しました。このなかのメイン企画が、櫛引町の春日神社に伝わる「黒川能」の鑑賞です。当日の「蝋燭(ろうそく)能」は、舞台照明を使わず、ろうそくの明かりだけで演じる昔ながらの能の姿を再現しようと始まりました。中堅、若手の氏子が中心となって実行委員会をつくり、今回で十二回目をかぞえ手作りイベントとしてすっかり定着しています。 今年は、能「草紙洗小町(そうしあらいこまち)」と「大江山(おおえやま)」、狂言「膏薬煉(こうやくねり)」が上演されました。舞台の周囲には大きな一貫目ろうそくが並び、演者を柔らかなオレンジ色で照らし出します。ツアー参加者は、ゆらめく炎の中で演じられる幻想的な能の世界に浸っていました(写真〈写真はありません〉)。 黒川能は、春日神社の神事能として、農民を中心とした氏子たちの手によって、五百数十年ものあいだ連綿と守り伝えられてきました。現在、春日神社の氏子は約二百四十戸。能役者は子どもから長老まで約百六十人。能面二百三十点、能装束四百点、演目数は能五百四十番、狂言五十番と、たいへん大きな規模になっています。一九七六年には、国の重要無形民俗文化財に指定され、生活に根ざした貴重な民俗芸能として全国から注目を集めています。 ツアー参加者は、能「大江山」のシテ(酒呑童子と鬼神)を演じた清和勉さんと懇談。「黒川の地に生まれたということを誇りに思っています。普段の鍛錬はたいへんですが、こうして全国のみなさんから励ましを受けることが、なによりうれしい」と、話していました。
(新聞「農民」2005.3.21付)
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[2005年3月]
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