演劇児演協の合同公演「お伽芝居 春若丸」幻の名作 初めての上演
毎年恒例の児演協(日本児童・青少年演劇劇団協同組合)の合同公演。ことしは「お伽芝居 春若丸」を上演します。この作品は巌谷小波が一九〇三年(明治三六年)に書いたもの。これまで上演されたことがなく、今回が本邦初演。 演出・構成の香川良成さんは「児童演劇の記念事業にふさわしい作品。日本の歴史のなかで『お伽芝居』というタイトルで発表された最初の作品です。ドイツの少年小説を、平安末期の話へと翻案されたもので、日本の民話的な面白さをもっています。原作は歌舞伎スタイルですが、文体と構成は最大限生かしながら、語りものの演劇として構成した」と語ります。 京都・堀川に住む柏井少将春方と奥方・足穂の前の間に春若丸が生まれました。ところが、両親の留守中、乳母たちが門前の幸若舞(こうわかまい)をみている間に、財宝ともども春若丸も盗み取られてしまう。幸若舞の太夫たちは山賊の一味だったのです。春若丸は山賊の隠れ家の窟(いわや)の中で育てられました。七歳の春、偶然に下界に出た春若丸は、見るもの、聞くものすべて初めてのことばかり…。動物や子どもたちが活躍する波乱万丈の物語。 合同公演らしく前進座、新人会、東京演劇アンサンブル、野ばら、遊玄社など十三の劇団が参加。主役の春若丸を演じる劇団仲間の大堀茜さんは「いろいろな劇団から集まってきた人たちとひとつの作品をつくるのは初めての経験。毎日が新しいことばかりで、うれしさの連続です。書かれた作品は古いですが、それが逆に新鮮です。自分が新鮮と感じたことがお客さんにも伝えたい。人間の温かさや優しい気持ちはいつの時代も同じ」と語ってくれました。 おもな出演者は姉川新之輔、高柳育子、伊藤克ほか。子どもに見せる芝居に、新たな光があてられました。 (鈴木太郎)
*3月19日〜21日東京・吉祥寺・前進座劇場、26日〜27小平市・ルネこだいら、30日〜31日渋谷・東京都児童会館。連絡先=児演協 電話03(5269)2036 (新聞「農民」2005.3.14付)
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[2005年3月]
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