大阪「BSEの安全対策考える」集会食品安全委山内委員「全頭検査維持を」アメリカの検査・処理の危険指摘
アメリカや外食産業などからアメリカ産牛肉の早期輸入再開の圧力が強まるなか、二月十八日、大阪で「BSEの安全対策を考える」学習講演会が開かれました。講師は、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会委員も務める東大名誉教授の山内一也氏。主催は、大阪食糧農業問題研究会、大阪消団連、食農府民会議の三団体です。大阪をはじめ、近畿各地、名古屋や三重から百十六人が参加して、関心の高さを示しました。 山内氏は、「日本のBSE対策は、全頭検査と特定危険部位(SRM)の除去が補い合ってリスク低減をはかっている」と述べるとともに、日本のSRM除去の問題点として、背割り前の脊髄(せきずい)除去実施が七割にとどまっていることや、脳などの混入の危険があるピッシングを七割のと畜場が続けていることを指摘。これらの対策強化の必要性とともに、「この不十分な面を、全頭検査が補っている。世界に誇れる日本の検査体制を維持すべきだ」と強調しました。また、山内氏は、アメリカの牛肉処理の現場についても報告。十秒に一頭、週三万頭も処理するアメリカの大規模と畜場は、日本で最大の芝浦と畜場(年間三万五千頭処理)と比べても桁違いです。しかし、そのと畜場で、獣医師がたった二人、資格認定された検査員もわずかに二十八人(二交代制)という実態を示し、「アメリカ産牛肉の安全対策には、日本と同等の検査が不可欠」と語りました。 参加者からは、「国内の安全対策について確信が持てた。一方、アメリカ牛に対する不安が増幅、輸入再開は時期尚早で、運動を強めたい」「科学的根拠に基づいたお話でわかりやすかった。輸入再開は安全が疑問。日本も全頭検査を緩める方向のようで不安だ」などの感想が出されました。 (大阪農民連 原弘行)
北海道 十勝でも集会北海道農民連十勝地区協議会(山川秀正議長)は二月二十六日、音更町で単組代表者会議(総会)を開きました。十勝管内の加盟農民組合から二十一人が参加。当日は、本別町で国内十五頭目、十勝管内三頭目のBSE感染牛が発見された日で、集まった組合員からはこのことが大きな話題になりました。本別町の阿保静夫さんは討論で、「町はいま大変混乱している。以前、口蹄(こうてい)疫が発生した時も風評被害を招いた」と述べて、先に発生した士幌町の組合員に当時の対応を質問する場面も。また、町村信孝外相とライス国務長官との会談で、アメリカが日本に牛肉の輸入解禁を執ように要求したことも話題になりました。 総会では、日本共産党十勝地区委員会、帯広民主商工会、新婦人帯広支部、帯広地区労働組合総連合からあいさつをいただくとともに、地元の帯広畜産大学の学生から申し出があり、二人出席しました。 (音更町農民組合 大浦正志)
(新聞「農民」2005.3.14付)
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[2005年3月]
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