企画部会・基本計画見直し「原案」提出
金額ベースを自給率の新目標に
農地確保を450ヘクタールに下方修正
議論終了
柱は価格保障と農地制度解体狙い
食料自給率はカロリーベースと金額ベースの二本立て―こんな「食料・農業・農村基本計画」見直しの「原案」を、農水省は二月二十四日、食料・農業・農村政策審議会企画部会(座長・生源寺眞一東大大学院教授)に提案しました。
食料自給率をめぐる議論では、スーパーマーケット協会代表の委員が「金額ベースを基本にすべきではないか」と注文を付ける場面も。農水省は「金額ベースでは国際比較ができない。カロリーベースが基本」と表明しましたが、これまで「参考扱い」にしてきた金額ベースの食料自給率をカロリーベースと並立して「新たな目標」に定め、格上げしました。
また、農水省は、現在四百七十一万ヘクタールの農地面積はこのまま減り続ければ二〇一五年には四百三十一万ヘクタールになるという見通しを示して、「四百五十万ヘクタールの確保」を目標に設定。現行基本計画で掲げた目標の四百七十万ヘクタールをさらに下方修正しました。
そしてこの農地を担う主役は、三十三〜三十七万の家族経営と、一万の法人、二〜四万の集落営農だとして施策を集中。現在ある二百九十三万戸の農家の大多数を、農業から締め出す考えを示しました。また農水省は、その「主役」となる家族経営の規模を水田作の場合で十六ヘクタール、粗収入が二千万円、経営費を差し引いた一人当たりの所得は七百万円などと試算。しかし、これは豊作でもないのに「米改革」で米価暴落が続くなか、「だれがこんな試算をしたんだ」と怒りの声があがるほど、現実離れした代物です。
財界や政府は「自由化できる国づくり」をめざし、最大のネックになっている価格保障と農地制度の解体をめざしています。それが、基本計画見直し「原案」の柱です。
三月三日の企画部会では、農家の委員から「この案では、『構造改革』のあとの躍動感が伝わってこない」との意見も出されましたが、「議論は出尽くした」として「原案」を微修正して「適当」と判断。議論を終了させました。
「基本計画」は、同審議会の答申をもとに、三月末にも閣議決定される予定。世論を急速に盛り上げ、撤回させる運動を強める必要があります。
(新聞「農民」2005.3.14付)
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