「農民」記事データベース20050307-674-04

遺伝子組み換えから北海道を守ろう

全国初の規制条例案北海道議会で審議

関連/共産党の考えるつどいに町長・町議・農業委員ら250人

 遺伝子組み換え(GM)作物の試験栽培を規制する条例案がいま、北海道議会で審議されています。成立すれば全国初。農作物の多くを生産する北海道での条例制定の動きに全国の注目が集まるなか、各団体が道内各地で、遺伝子組み換え作物・食品に反対する集会に取り組んでいます。


札幌で全国集会

生産者・消費者・流通業者ら170人 規制求め署名提出

 「北海道遺伝子組み換えイネいらないネットワーク」と「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」は二月十八日、札幌市内で「北海道をGM汚染から守ろう!全国集会」を開き、全国各地から参加した生産者、消費者、流通業者ら百七十人の熱気でいっぱいになりました。

 「キャンペーン」代表の天笠啓祐さんが「欧州のGMOフリーゾーンと日本の取組み」のテーマで講演。GM作物の栽培を拒否するGMOフリーゾーンの欧州での広がりと、日本で運動を強める必要性を強調しました。

 続いて、各参加団体が活動報告。「ネットワーク」の泉屋めぐみさんは、GM作物の試験栽培について、許可制から届け出制へと後退するなど、条例案を骨抜きにする動きに懸念を表明しました。

 「キャンペーン」の塚平広志さんは、午前中に、北海道農協中央会、ホクレンに申し入れたことを報告。GMの輸入ナタネがこぼれ落ち、自生するなど、汚染の広がりの現状をのべ、「賛成派と反対派が激しいつばぜり合いを繰り広げている。日本の食料基地、北海道でGMを規制する意義は大きい」と訴えました。

 集会は「全国の農家・消費者とともに、これからも安全で安心な食卓を守り、国内自給率を高めていく努力をさらに続けるとともに、北海道産農作物をGM汚染から守るためにたたかいます」とするアピールを採択。参加者は、道庁を訪れ、十八万八千四百人分のGM規制を求める署名を提出しました。(写真上〈写真はありません〉


共産党の考えるつどいに町長・町議・農業委員ら250人

音更町

 十九日には音更町で、「食と農のつどい 遺伝子組み換えを考える」が開かれ、山口武敏・音更町長、町議会議員、農業委員、近隣市町村の住民ら二百五十人が参加しました(写真下〈写真はありません〉)。主催は日本共産党十勝地区委員会。

 共産党の紙智子参院議員が国会報告。アメリカ産牛肉の輸入再開反対や食料自給率向上を求める運動の高まりを示しながら、「みなさんの声や運動を国会での議論に反映させたい」とのべました。

 講演では、北海道大学の飯沢理一郎助教授が、GMと伝統的な育種法との違いなど、遺伝子組み換えとは何かを詳しく説明。モンサント、シンジェンタなどの農薬企業がGM作物の開発に乗り出し、世界でGM作付面積が広がっている現状をのべ、「農作物の価格保障と農家への所得補償を確立し、農家がGM作物に頼らずに農業ができるような仕組みが必要だ」と強調しました。

 「遺伝子組み換え食品の現状と運動の方向」と題して報告した、道農民連の白石淳一委員長は、農民連分析センターの調査で、豆腐、スナック菓子からGM食品が相次いで発見された事例にふれ、「GM作物の導入によって、日本の農業・食料生産を少数のアグリビジネスに握られる危険性がある」と指摘。(1)GM食品の表示義務をEU並みにする(2)水際でのチェック体制の強化(3)開放型試験研究や一般栽培の規制―の必要性を訴えました。

 士幌町でダイズなどを作っている清水秀雄さん(68)は「GM食品は安全だとの国の宣伝に、大きな危ぐをもっています。食料基地、十勝の農民としては、安全・安心な食料を届ける大きな仕事があります。周りの消費者に呼びかけて、農作物を守る運動を広げたい」と話していました。

(新聞「農民」2005.3.7付)
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2005年3月

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