「農民」記事データベース20050228-673-06

山梨農民連・丹沢民雄会長

温泉の熱使いブドウ栽培

外は寒風吹き荒れてもハウス内はあったか春


もう芽ふきだし どんどん成長

露地ものより早く出荷

 温泉で有名な山梨・石和町。化石燃料を使わず温泉の熱を使ってブドウを栽培している人がいます。山梨農民連の丹沢民雄会長です(写真上〈写真はありません〉)。

 旅館でもない普通の家に温泉が湧出していること自体とても珍しいこと。丹沢さんのお父さんが三十一年前、当時のお金で一千万円かけて温泉を掘削。源泉の湯温は四十一度、泉質はアルカリ泉です。

 丹沢さんは何かに利用できないかと、山梨大学の小林均教授らに相談して、二十年前から温泉の熱を利用してブドウ(キングデラ)を栽培。途中、五〜六年テラピア(和泉鯛)の養殖も試みましたが失敗してしまったそうです。

 手先が器用で発想も柔軟な丹沢さんは、中古のラジエーター(トヨタマークII)を四つ田の字に連結。それに温泉をポンプで送り、ファンで熱を吸い込んで、長さ四十三メートルのポリダクトに流し込み、室温を二〇〜二一度に保っています(写真下〈写真はありません〉)。生育ステージに合わせて四段サーモで変温操作しています。手間賃も含めてワンセット八万円する温風器が一ハウス四機ずつ八機あります。

 加温開始は昨年十二月二十日。一月十八日に芽吹きだし、今は生長が早いもので八〜九枚展葉しています。ハウスの中はまさに春。将来は温泉を利用して地中熱暖房も考えているそうです。

 また、丹沢さんは、樹体の炭酸同化作用を旺盛にさせるため、早朝三十分間LPガスボイラーをハウス内でたいています。その効果は、樹勢低下を押さえ、節管がつまり軟弱徒長を抑え、葉も厚くなり、果実の糖度もあがります。

 昨年、一反で一・五トン収穫したそうです。今年も生育が順調なので五月二十日ころから七月初旬まで出荷し、露地ブドウにつなげていきます。

(山梨県農民連 津久井裕)

(新聞「農民」2005.2.28付)
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2005年2月

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