自給率見直し企画部会に“骨子案”提出 農水省国が何をやるかわからない案
金額ベースの目標設定でごまかす取り組みは国民に押し付け農水省は二月十日、「食料・農業・農村基本計画」の見直し作業をすすめている食料・農業・農村政策審議会の企画部会(座長・生源寺眞一東大大学院教授)に、はじめて「基本計画」見直しの「骨子案」を提案しました。企画部会は、三月末をめどに、この「骨子案」を基に取りまとめの議論を行っていくことになります。見直し作業の中で、焦点の一つになっているのが食料自給率。現行の「基本計画」では、二〇一〇年度までにカロリーベース(供給熱量)で四五%にするという目標でしたが、農水省は「目標達成は無理」と、すでに白旗を揚げる始末。「骨子案」では、カロリーベースに加えて、金額ベースの食料自給率目標を設ける方針を明らかにしました。
“国民は金を食うのではない”カロリー自給率は、人が生きるうえで欠かせないエネルギーを、国産でどのくらい賄えるかを示します。一方、金額ベースは、「国民に供給される農産物の経済的価値に着目」したと農水省。たしかにカロリーが少ない野菜や果物はカロリー自給率に反映されづらい面がありますが、農水省のねらいは別にあります。カロリーでは四〇%と世界でもきわめて低い日本の自給率も、金額ベースでは七〇%に跳ね上がります。これでは、国民の目をそらせる“目くらまし”と言われても仕方ありません。 愛知食農健の大家信義さん(名古屋市)は、金額ベースの自給率設定について、「お役人の考えそうなこと。人は金を食うのではない」とバッサリ。そして「やせたい人が大量の風船を持って体重計に乗るようなものではないか。まじめにやれ、と言いたくなる」とあきれ顔です。
輸入抑制や価格保障導入はなしまた「骨子案」は、具体的に食料自給率をどうやって向上させようというのか――。それは「関係者の主体的取り組み」です。たとえば、地方自治体は地域の自給率目標を決めろ、農業者は消費者や実需者の要求をつかんで生産せよ、消費者は食生活を見直せ―といった具合。自給率低下の元凶である無秩序な農産物の輸入を抑えることや、農家の生産意欲がわく価格保障の導入といった記述は見当たりません。新たな施策といえば、一部の担い手や法人だけを対象とした「品目横断的な経営安定対策」だけ。国が何をやろうとするのか、よくわからないのが「骨子案」です。国民に対して、“いのちの源”である食料の安定供給、安全・安心をはかることは国の責任です。「国内生産を増やし、国の責任で、食料自給率を抜本的に向上させること」を求める全国食健連の百万署名の取り組みで、国民の声を小泉「農政改革」に突きつけましょう。
もう一つの流れ必ず強く大きく静岡県農民連大会静岡県農民連は二月六〜七日、浜名湖畔の浜松市館山寺で第三十一回定期大会を開きました。一日目の分散会討論と翌日の全体討論で全員が発言。「楽しく農業をやろう」「『もう一つの流れ』を強く大きくしよう」「全国・県下の取り組みを全県に広げよう」など、積極的で元気な発言が相次ぎ、「ものを作ってこそ農民」「農民の苦悩あるところ農民連あり」の真価を発揮して、国民・県民の期待に応える前進をすることを確認し合いました。 大会で選出された役員は次のとおりです。会長=森島倫生、副会長=杉本賢次、種石銀一、名倉正雄、事務局長=吉川利明。 (静岡県農民連 清水紀夫)
(新聞「農民」2005.2.28付)
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[2005年2月]
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