旬の味
与謝野晶子の詩にはドキッとする言葉がある。「君死にたもふことなかれ」の中で「すめらみことは、戦いにおほみずから出でまさね」と言い切り、国粋主義者から「国家の刑罰を加ふべき罪人」として自宅に脅迫文や投石までうける▼しかし、「当節のやうに死ねよ死ねよ申し候こと又何事も忠君愛国などの文字や畏(おそ)れ多き教育御勅語などを引きて論ずることの流行は却って危険と申すもの」とひるむことなく反撃する▼さらに「或国」の中では「亜米利加(アメリカ)の富なくて、亜米利加化する国 疑惑と戦慄を感ぜざる国 男みな背を屈めて宿命論者となり行く国 めでたく、うら安く、万々歳の国」と日本を喝破する▼さらに「やわ肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君」と男にいらだち、「山の動く日」で「すべて眠りし女 今目覚めて動くなる」と宣言する▼この日本、百年前と変わらぬことに晶子も言葉を失うだろう。背を屈めて、あつき血潮に触れることもなく、愚痴る男にはなるまい。 (本)
(新聞「農民」2005.2.21付)
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[2005年2月]
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