「農民」記事データベース20050214-671-14

旬の味


 東京駅近くのビル地下に、土を使わず、培養液と人工照明で野菜を作る植物工場が完成。棚田で米も作り、周辺の食堂にも供給―とA紙が報じた。企業の農業参入を推進する社説を掲げた同紙が、トップ記事にした意図はおのずと予想がつく。ものを作る農民として見過ごせない▼命の糧である食糧を人工的に作り、むとんちゃくにあてがって利潤追求の手段にする発想がそもそも非人間的だ。食の専門家は、この種の野菜は、豊かな土壌で育ったものに比べて栄養価が極端に劣り、食べものに値しないという▼人工の棚田で米を栽培するというが、全国の山間地で消費者も加わって棚田を保存し、自然環境と米を守っている人たちを冒とくするものだ。食料自給率が低下するなかで、増大する耕作放棄地を豊かな農地に戻すことこそ大事だ▼国民の食糧に責任を持つ農政で、農産物価格の下支えをする。このことが、安全で栄養豊富な米や野菜を作り続け、食べ続けられる道だ。あらためて本物の食とは何か考えたい。

(長)

(新聞「農民」2005.2.14付)
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2005年2月

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