すばらしい!!
日本の生産者と消費者のきずな
アメリカの農業・貿易政策研究所(IATP)
ニール・リッチー氏が講演
「生産者と消費者を結ぶ農民連の活動はすばらしい」――。一月十四日の農民連全国大会終了後、アメリカにある農業・貿易政策研究所(IATP)のニール・リッチー氏の講演会が開かれました。昨年四月の国際シンポジウムに参加し、農民連の産直や学校給食など地産地消の運動を知って深く感動したリッチー氏。講演のなかで、農業の工業化が進むアメリカの問題点を指摘し、産直や地産地消が重要なカギになることを強調しました。
“産直や地産地消が重要”
農民連と交流深め学びたい
「アメリカ国内で盛んに行われている農業の産業化や工場化は、農民の収入を減らし、農村経済、市場、そして経済全体を疲弊させる。効率性とコスト削減ばかり偏重し、たくさんの農薬や遺伝子組み換え技術を使うことで、食の安全が脅かされ、生物や自然にも害が及ぶ」とリッチー氏。
「これらの問題を解決するために、家族経営農家を守り、農作物を農民が手間をかけて育て、売ることができる国内市場を強化し、大企業の参入を拒むことが重要である」として、IATPが産直や地産地消を実践し始めていることを紹介しました。
リッチー氏の講演に対して、千葉県の多古町旬の味産直センター代表の高橋清さん(55)は、「日本の農業を守っていくうえで非常に勇気づけられた」と発言。
また、トマトを栽培している群馬農民連の木村君江さん(62)は、「日本の家族経営農業に自信を持った。しかし、食品加工大手のカゴメが、経済特区で、トマト栽培に進出しているように農業における企業の力が増している。どのように対抗していけばいいのか」と質問。リッチー氏は「食品の契約栽培はたいへん危険。産直や地産地消によって高品質の物を作り、企業にプレッシャーをかけていくことが重要」と答えました。
非常に勇気づけられた家族経営に自信もった
話し方からは、物静かな印象を感じさせるリッチー氏。しかし、講演の内容からは、農業に対する熱い思いを感じます。「農民連が築いてきた生産者と消費者のきずなは、日本の農業政策を変えていく大きな力になる。これからも交流を深め、多く学んでいきたい」と語りました。
リッチー氏は、秋田県地方自治研究センターなどが主催した国際農業セミナーの講師として来日。農民連の講演会は、この機会を活用して行われたものです。
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IATP(農業・貿易政策研究所) 一九八七年に発足し、アメリカ合衆国のミネソタ州に本部を置く。農業や貿易分野での調査や研究のほか、全米各地で講演会や学習会を開き、政府と交渉するなど、農民や労働者の要求実現のために活動している。
(新聞「農民」2005.2.7付)
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