生産者・業者・消費者が一体で
地元産の小麦で合鴨ラーメン
北海道滝川市
特産に育てる取り組み進む
“地産地消は街の活性化に”と市も後押し
北海道滝川市では、地元産の小麦「ハルユタカ」を百パーセント使ったラーメンを特産にしようと、生産者、加工業者、消費者が一体になり、それを市が後押しする取り組みが始まっています。
一年を通じて、多くの観光客が訪れる自然活用型宿泊施設「丸加高原伝習館(健康の郷)」。同館のレストランのラーメンが話題を呼んでいます。シコシコ麺(めん)に鴨(かも)汁の風味が溶け込んだ「合鴨ラーメン」。一日限定十食、「伝習館」のオリジナルです。
「二カ月かけてアンケートをとり、お客さんの意見を聞きながら、この味に仕上げました。話題を提供し、集客につなげると同時に、地元の人に味わってもらい、地域との結びつきを考えるきっかけになってくれれば」と思いを語るのは同館総支配人の野澤秀徳さん(54)。
野澤さんは、地元の新鮮な野菜をレストランのメニューに取り入れたいと、農家を一軒一軒回り、「地元の野菜を施設に提供してほしい」と持ちかけています。
小麦の収量増と品質向上を図る
ハルユタカは、腰が強く風味が豊かで、パンにラーメンにと、引く手あまたの小麦です。春まきの代表格ですが、秋まきに比べて生育期間が短いために収量が少ないという弱点があります。この弱点を補うために、数年前から、十一月下旬から十二月上旬にかけて行う初冬まきが始まりました。根雪直前、または雪の上から種をまき、雪の下で発芽。成長する時期を早めることで収量増と品質向上を図ります。
「初冬まきは、土壌が凍結せず、やわらかい雪が降る空知地区などにぴったりの播種(はしゅ)法です」と胸を張るのは、滝川市に隣接する赤平市の農家、宮井誠一さん(66)。圃(ほ)場に傷をつけないように車輪の代わりに「そり」をつけた独特の播種機で、種をまきます。
地元で採れた小麦を地元で製粉し、その粉で麺をつくる――。市の製麺業者、大澤製麺の大澤祟記社長は「輸入品は安全面からも当てにならない。これからは地域密着でいかないとだめ。地元の生産者をみんなで育てていかないと」と、生産者、加工業者、消費者がコミュニケーションを取り合い、地元に目を向けていくことの意義を強調します。
滝川市は合併せず、自立でいくことを表明しました。「市民同士が一体となった地産地消の取り組みは、市の自立につながるはず」と大澤さんは期待を込めます。
市民が一体で地産地消を進め、街の活性化を図る取り組み。「伝習館」の野澤さんは「生産者、加工業者、消費者が一堂に会して、意見を出し合うことが大事です。観光の拠点としてのこの施設を通じて、地域密着を発信していきたい」と抱負を語っています。
(新聞「農民」2005.1.24付)
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