「農民」記事データベース20050124-668-01

感動あふれる発言、笑い・涙の参加者

生産をもっともっと広げ、仲間づくりを前進させよう

農民連第16回全国大会

 ものを作る農民の底力で、大企業の農業・食糧支配を許さない「もう一つの流れ」を強く大きくしよう――農民連第十六回定期大会が一月十二〜十四日、東京・大田区産業プラザで開かれました。四十七都道府県から三百九十人の代議員・評議員が参加。二年ぶりに開かれた大会は、台風・地震による災害や米価の暴落など困難に立ち向かい、果敢に奮闘してきた各地のとりくみを交流。「農民の苦難あるところ農民連あり」の旗を高く掲げ、全国の農民が熱く連帯する農民連の存在感を大きく示しました。


行動綱領改定案を提案ビア・カンペシーナ加盟提起

苦悩する農家へ足運び要求に基づく共同大きく

 開会あいさつで佐々木健三会長は、新潟県中越大震災で、いち早くおにぎりなどを持ってかけつけた農民連の奮闘にふれ、「ものを作る農民の存在がどれほど大事かを示した」と指摘。さらにアジアに甚大な被害をもたらしたインドネシア・スマトラ島沖地震で、支援・復興の先頭に立っているインドネシア農民組合連合から寄せられたメッセージを紹介。「助け合いの精神を国際連帯の場でも大いに発揮しよう」と呼びかけました。

 憲法改悪や米・農業つぶし告発

 続いて、笹渡義夫事務局長が常任委員会を代表して、決議案と行動綱領の改定案を提案。異常なまでの対米従属ぶりの小泉内閣による憲法改悪や米・農業つぶしなどの悪政を告発するとともに、「その一方でこうした悪政は、要求にもとづくたたかいや共同を広げ、力強い『もう一つの流れ』をつくりだしている」と強調しました。

 そのうえで笹渡氏は、「この流れをさらに大きくする中心的な課題は、安全・安心な農産物の生産の拡大と、主体的な力を強めることだ」と述べて、会員の二〇%増と、新聞「農民」読者では三万人を一日も早く達成し、五万人をめざすことを提起。「そのために、組織づくりの計画を立て、役員を先頭に日常的にとりくもう」と呼びかけました。

 また、行動綱領の改定案については、組織討議にかけた後、全国委員会で採択し、次期大会で承認を得ることを提案しました。

 真嶋良孝副会長は補足報告で、アメリカや多国籍企業の利益を第一に、WTOなどが進める経済のグローバリゼーションと、そのもとで小泉内閣が進めている自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)推進の方針を批判。これへの対案として、世界の「もう一つの流れ」になりつつある「食糧主権」の内容を紹介するとともに、「食糧主権」を提起したビア・カンペシーナへの加入の意義を強調しました。

 「もう一つの流 れ」大きくして

 討論では、感動に満ちた発言が相次ぎ、笑いや涙が会場を包みました。

 新潟県農民連の石橋幸男さんは「震災から二日後におにぎりが長野から届き、涙して感謝するお年寄りも。支援のとりくみ一つ一つが感動だった」と発言。また、静岡県農民連の後継青年、杵塚歩さんは「なぜ農業をやろうと思ったか、自分なりに考えたら、親やまわりの農家が仕事に誇りをもち、輝いていることに気がついた」と述べて、大きな拍手を浴びました。

 鹿児島県農民連は、会員、新聞「農民」読者とも、前大会から増やして参加しました。「定期的な役員会と週刊の県連ニュースが力になった」と丸野武人事務局長。県連顧問で、地元農協の理事も務める真戸原勲さんは、農協組合員に新聞を普及。「理事会でも『農民』が話題になり、合併を拒否する、日本一の農協になった」と語りました。

 奈良県農民連も、県下に三つの単組を立ち上げ、税金や産直、固定資産税、減免軽油、堆肥づくりなど、農家の多面的な要求に応えて、会員・読者を増やしています。「新しい専従者がどんどん地域に入り、要求を聞いてくる」と、中垣義彦会長。また、昨秋から七十四人の読者を増やした山形・庄内農民センターの佐藤光雄さんは「大きな志でとりくんだことが前進につながった」と発言しました。

 各地の“ものづくり”運動も着実に前進しています。愛媛県農民連に団体加入する「野村町百姓百品産直組合」の和気数男さんは、中山間地の高齢・零細農家が作った野菜を松山市に届けて好評なことや、組合がそうした農家の生活に欠かせない存在になっていることを生き生きと報告。香川農民連の植村隆明さんはオーストラリア産小麦に負けじと、県農業試験場が開発した「さぬきの夢二〇〇〇」でうどんを製品化した経緯を発言。長野県農民連の宮沢国夫事務局長は、「地域に目を向ければ、安全・安心を望む消費者の力強い運動がある。地域の『もう一つの流れ』をさらに大きくする運動にとりくむ」と決意を語りました。

 米価暴落に対するたたかいと「準産直米」のとりくみでは、米異常事態に対する建議書を農業委員会であげた秋田・西目町の佐々木隆一さんが発言。農民連米対策部の横山昭三さんは、競い合って米を買いたたく政府と大手米卸を告発し、「準産直米の現局面での最大の眼目はルートを作ることだ」と述べました。

 アメリカ産牛肉の輸入解禁を許さないたたかいでは、畜全協の森島倫生会長が「この問題は、農民連の運動が際立っている」と指摘。固定資産税軽減のとりくみでは、農民連固定資産税対策部の山口和夫さんが「各地の経験をみんなの知恵にして、とりくみを広げよう」と呼びかけました。

 スマトラ大地震義援金27万円余

 大会初日の夜には、参加者が自慢の農畜産物、加工品、地酒を持ち寄り、百人を超える消費者、労働者を招いて、レセプション「ふるさと自慢市」を開催。また大会期間中に呼びかけられたスマトラ島沖地震への義援金は、二十七万円余が寄せられました。

 大会は最後に、「戦後六十年の年に、憲法九条を守り、戦争をしない国―日本を築くことを強く誓う」との特別決議をあげ、二十七人の新常任委員を選出しました。

(新聞「農民」2005.1.24付)
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2005年1月

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