「農民」記事データベース20050110-667-19

京都で「社会フォーラム」


 誰もが安心して住み続けられる「もうひとつの世界」をテーマに十二月十一、十二の両日、京都市の京都大学構内で「京都社会フォーラム」が開かれ、NGO(非政府組織)、市民団体、個人が集いました。

 社会フォーラムは、二〇〇〇年にブラジルで「世界社会フォーラム」が開催されたのを機に、毎年、世界各地で取り組まれています。

 「京都社会フォーラム」は、日本からも平和、人権、民主主義を大切にする「もうひとつの世界」の創造に向けたメッセージを発信しようと開かれた国内初の社会フォーラムです。農民連の真嶋良孝副会長も賛同のメッセージを寄せました。

会場内に「スローフードカフェ」

“旬の味”を楽しむ

 リストラ、年金、環境破壊、戦争そして食料・農業――さまざまなテーマでワークショップが開かれた会場内。「スローフードカフェ」には、正午ごろから客が続々と訪れ、店内には行列ができました。責任者の桑山真恵さん(29)は「地域経済活性化や食の安全を考え、おいしいものを供給したいとの思いから、食材の多くを産直野菜や市内の自然食品店から取り寄せました。ニンジンや大根を使った冬野菜のきんぴらなど、旬の味にこだわりました」と説明します。

 メニューには、ハクサイの中華風サラダ、切り干し大根とシイタケマリネ、ひじきのイタリアンサラダなど、和風、中華、洋風の味を取りそろえています。

 「野菜がおいしかった。やっぱり有機野菜ですね」と話したのは、畑中美代子さん(65)=八幡市=。京都市左京区に住む日系ブラジル人のリリアン・テルミ・ハタノさん(37)は「安全な国内産が一番。輸入依存ではだめです。食料自給率を高めないと」と語っていました。

 午後二時までには、ほとんどの料理が売り切れ。調理を手伝った平野慶次さん(50)は「けんちん汁やミネストローネは、あっという間になくなりました。洋食を頼んだ人でも、おにぎりを手にしていきました。日本人は、お米が好きなんですね」と感心します。

 桑山さんは「みんなで調理法を情報交換するなど、楽しく交流できました。これを機会に、『食』をテーマにしたフォーラムを開き、いろいろな団体に呼びかけて、ネットワークを広げたい」と抱負を語っていました。


アメリカ産牛肉輸入反対、農とエネルギー考える講演

 「カフェ」や会場内で「アメリカ産牛肉の輸入は再開するな」「全頭検査の継続を」と、牛にふんしたコスチュームで呼びかけていたのは、BSE市民ネットワークのメンバー。代表の高谷順子さんは「多くの国民がアメリカ産牛肉の輸入再開に反対しています。こうした声がはっきりと表に出て、運動が大きくなるよう、広範な人たちに働きかけたい」と決意していました。

 NPO法人「使い捨て時代を考える会」による講演会も開かれ、食や健康、有機農業に長年、関わってきた槌田劭さんが「飢餓問題を今、考える」「エネルギー問題から農を考える」をテーマに報告。地球温暖化防止策を定めた「京都議定書」に反対し、環境保全に背を向けるアメリカの政権中枢が、軍需や石油産業のトップによって占められている実態を指摘し、「石油への利害関係が、イラク戦争の動機だ」とのべました。

(新聞「農民」2005.1.10付)
ライン

2005年1月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会