京都の伝統野菜えびいもおせちにおでんに煮物にピッタリ
“作る喜びある限り続ける”台風、輸入品攻勢に負けずがんばる 河瀬 正義さんおせち料理やおでん、煮物が食卓をにぎわせる一月。京都の伝統野菜で、しま模様と曲がり具合がエビそっくりの、えびいもは、サトイモの一種。食べれば体が温まります。「去年は、形もよく、たくさん採れましたから、畑から掘り出すのが楽しみでした。今年は相次ぐ台風で、収穫量は去年の七割ぐらい。手取り収入にすると半分ほどですわ」と話すのは、京田辺市で三十年間、えびいもを作り続けている河瀬正義さん(66)。水稲、茶、ナスなども手がけています。 えびいもは、三月上旬までビニールハウスで保存しながら発芽させ、四月中旬に定植します。まず、種イモから親イモが出てきます。 子イモが、親イモの茎の周りに伸びてきたとき、親イモの茎と子イモの茎の間に、上から土を押し込むように入れる土寄せという作業を行います。こうして土の重みでイモが逃げるように曲がっていきます。八月までに土寄せを三、四回繰り返すことによって、エビのような曲がった形になるのです。 形の悪いものは、すり潰すなど加工して販売します。えびいもから、さらに孫イモができます。孫イモは「こえびちゃん」として五、六個一パックにして出荷されます。 えびいもの収穫は十月中旬から年末まで。二百から三百グラムの大きさにまで成長します。長時間煮ても、サトイモのように煮崩れしません。棒だらの味がイモのしんまで通るように煮る「えびいもと棒だらの煮つけ」(いもぼう)が絶品。ほどよい粘り気の食感と甘味、白色で香ばしい風味が特徴です。 十八世紀ごろから、京都の伏見で作られていましたが、都市化に伴い、京田辺などの山城地方が主産地になりました。生産性の向上をねらって、品種改良の研究も進み、二、三年後には本格的に実用化される見込みです。 近年、茶やサトイモも中国からの輸入攻勢にさらされています。外国産の輸入や相次ぐ台風による不作にもかかわらず、えびいもを作り続ける河瀬さん。「えびいもの出来は掘り出してみないとわからない。それが楽しみなんです。収穫の喜びは作っている人でないとわかりません。いいものができれば、疲れも吹き飛ぶ。こうした喜びがある限り、作り続けます」と笑顔で話していました。
(新聞「農民」2005.1.10付)
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[2005年1月]
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