農水省交渉米価暴落 米づくり途絶えかねない食べられる備蓄米はわずか2日分
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「十五ヘクタールの稲作農家でも、今年の米価では生産費を大きく下回る。このままでは北海道の米づくりが途絶えかねない事態だという認識で、国が特別な対策をとるべきだ」。農民連の白石淳一副会長は農水省の要請で、仮渡金が一俵(60キロ)一万円(稲得込み)に暴落している現場の実情をこう訴えました。
ところが、村上局長は「二〇一〇年の『あるべき姿』をめざしてとりくんでいる『米改革』の過渡期であり、その基本は政府の関与をなるべく減らすこと」と拒否。「価格操作的に備蓄を運営するのはよくない」などと述べました。
しかし、事実はそれとは逆で、今日の異常事態を招いたのは、まぎれもなく政府の備蓄運営です。昨年の不作に際して政府は、不足分(90万トン)を上回る百五万トンもの政府備蓄米を放出。市場を混乱させ、本来二年続きの不作で米が足りないのに、価格は暴落を続ける事態を作り出しました。
さらにこの「失政」で米の備蓄量は、政府が自ら決めた適正水準(百万トン)を大きく下回る五十七万トン(昨年10月末)に減少。しかも、そのうち九七〜九九年産の超古米が五十三万トンを占め、主食用に耐えうる米はわずか四万トン。これは、国民消費量のわずか二日分でしかありません。
「これでは、いざという時の備えにならない。〇三、〇四年産の“食べられる米”を緊急に備蓄すべきだ」と横山昭三・農民連米対策部事務局長。しかし、これに対しても村上局長は、「古い米にはかなり臭いがするものもあり精査する」と述べたものの、政府が持つべき在庫を持たずに民間に抱えさせている事実を無視して「需給バランスはとれており、四十万トン以上の買い上げは考えていない」と拒否回答しました。
自ら決めた水準の備蓄米の買い入れさえ、価格操作につながるとかたくなに拒否する農水省。この背景には、WTOによる関税引き下げやFTA推進の方針を明確にし、米の輸入自由化を前提に、米価を大暴落させ、農民を稲作から強引にしめ出す小泉流の農業版構造改革路線があります。
佐々木会長は要請の最後に、「机上の論理で判断してはダメだ。予想しえなかったことが起こるのが農業であり、そのなかで農民は必死に努力している。これが報われる政治が必要だ」と指摘。これまでの枠組みにとらわれず、対策を講じるよう重ねて要請しました。
米をめぐる今日の事態を招いた原因が、政府米の大量放出にあることで認識が一致。全中も政府への要請を強めていることが紹介され、水田・営農ビジョン対策室長の松岡公明氏は、「敷居を低くして待っているので、これからも懇談を続けましょう」と述べました。
[2005年1月]
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