農民美術の至芸笹野一刀彫山形・米沢
野趣に富んだ素朴な作品勇猛な鷹の目が、世間の悪をにらみます――。山形県米沢市の笹野集落に伝承する「笹野一刀彫」。起こりは千数百年前、技法はアイヌのものだといわれています。この技法を親から受け継いだ加藤孝一さん(62)は六代目。お米を六ヘクタールつくる専業農家で、農民連会員です。冬の農閑期や夏場の空いた時間に作品を作っています。 「笹野一刀彫」は、上杉十代の藩主鷹山公が豪雪に閉ざされる冬の副業として指導、奨励しました。作品は、背丈ほどもある尾長どりからアクセサリー用のニワトリまで、大小さまざま。「この辺でアブラコと呼んでいる木を、冬の間に山から切り出してきて皮をはぎ、軒端に立てて乾燥させる。大きいものは、重い刃物を長時間、集中して使う。危険な重労働だよ」と加藤さん。 農耕でふしくれだった農民の手で彫り削られた、野趣に富んだ素朴な作品は、一種の風格さえ備え、多くの愛好家から親しまれています。しかし、二十五年前には百人もいた笹野彫協同組合は、今では三十五人になってしまい、後継者不足が悩みだそうです。「生活を支える農業が、やっぱり厳しくなっているからさ。農民連ががんばらんと。今年は、お鷹ポッポと身代がふえる年にしたいね」と、加藤さんは語っていました。 (山形県農民連 柴田雅子)
(新聞「農民」2005.1.3付)
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[2005年1月]
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