「農民」記事データベース20041206-663-10

旬の味


 「はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いてもフタ開けるな」。昔から伝わる薪(まき)でご飯を炊くコツ。今では便利な電気がまで忘れられているが、農産加工には微妙な手加減や勘がはたらく▼秋田では初雪のころから「いぶりガッコ」づくりが盛んになる。大根のくん蒸のし方は人によってさまざまだ。桜の木を燃やし、いぶすのだが、最初の六時間が勝負だという。仕上がるまで三日ほどかかるが、なんとなくご飯を炊く間合いと似ておもしろい。くん製にした大根を水洗いし、米こうじ、黒米、砂糖、塩で大きいたるに漬ける。一本一本手が込んだ仕事だ▼漬物づくりは母ちゃんたちが主役。父ちゃんたちは集まれば、「去年より二百万円減収だ」「いや、オレは四百万円だ」と、米価暴落と不作で元気がない。これに比べて母ちゃんたちのなんとたくましいことか。計画的に野菜を作り、加工して冬場に売る。それもグループを作って極めて「組織的」に▼男鹿の荒海にハタハタが寄ってくる季節。飯ずしづくりも始まる。

(長)

(新聞「農民」2004.12.6付)
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2004年12月

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